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QEの先に何があるのか・・・

みなさんこんにちは。

ここのところ僕はQE(注)についてよく考えます。

注)中央銀行によるマネー供給政策

確かに過去を振り返るなら、リーマン・ショックのあと
一番積極的にQEをやった米国の経済がいち早く正常化し、
QEに消極的だった欧州が、いまだにデフレと低成長に
悩んでいるのは事実です。

つまり少なくともリーマン・ショック後の世界では、
QEをやれば経済は正常化し、QEをためらえば正常化が
遅れたといえるわけです。

ただしそれはあくまで結果論であって、どのような
メカニズムでQEが経済に作用したかについて、
まだよくわかっていないというが、ほんとうのところ
ではないでしょうか。

僕自身はQEが実体経済に与える最大の効果は、
人間の心理に与える好影響ではないかと考えております。

本当に経済に好影響を与えるかどうかはよくわからないが、
QEの実施によって経済は好転するのではないかという、
いわば人々の思い込みがあることは事実でしょう。

このように心理面での効果は大きいと思います。

いつかこのメルマガでお話ししたよう思いますが、
景気変動の大半は、人間の心理によって起きている
ように僕は思います。

きっと私たちの祖先が太古の原野を走り回っていたときから、
群れの動きを見てみずからの行動を決める習性を、
人間は身につけてきたのではないでしょうか。

例えばGDP成長率をみても、日本や欧米など先進国の四半期GDPは、
前期比でみて1%も増えれば大騒ぎです。

1%などという数字は、例えば全ての個人が消費をほんの
僅かずつでも増やせば実現してしまう数字ですし、
全ての企業が設備投資を少し増やすだけで実現する数字です。

ですから一人一人、あるいは一社ごとの心理の揺らぎは
ごく小さなものであっても、大勢の人たち、多くの企業が
一斉に同じ方向に向かって動きますと、国という単位、
あるいは世界という単位でみれば、途方もなく大きな成長にも
なりますし、また大きな後退にもなるわけです。

さらに企業という主体に注目した場合、その主体を
構成しているのは、従業員であれ、経営者であれ、
あるいは株主であれ、すべて行き着く先は生身の人間です。

つまり人間が集団で同じ方向に向かって一斉に動く場合、
そのエネルギーによって、景気変動というものが
形作られるのではないか・・・僕はこのように考えて
います。

では仮にこのように、景気変動の主因が人間の心理にある
とすればどうでしょう。

確かにQEはその心理に一定方向の勢いを与えるという意味で、
大変重要な意味を持っており、またそのような観点において、
QEというものは確かに有効ではないかと思います。

一方で私たちはその副作用にも目を配る必要が
あるでしょう。

上記のようにQEの主な効用が、人間の心理に働きかけ、
その集団的な方向性を誘導するものだとすれば、
果たしてQEが去ったあと、いったい何が残るのでしょうか。

市場に大量に供給されたマネー・・・

つまりはそれだけではないでしょうか。

あとには何も残りません、いずれ人間の心理は
また逆回転を始め、拡大した経済は本来あるべき
サイズに戻ることになるでしょう。

その後退の速度が一定の範囲に収まれば、またその時点で
それなりのQEが必要になり、前回のショックのように
急激なものになれば、前回同様また大きなQEを行う必要が
出てくるはずです。

このようにして、もはやQEなしで経済は制御できなくなり、
特に先進国では無制限にマネーの量が増えてゆく・・・

そしていつかマネーと実体経済のバランスが崩壊し、
未曽有のショックに見舞われる・・・

どうもそんな悲観的なことを考えてしまうわけです。

QE導入に対して頑なな姿勢をとるドイツに対する風当たりが、
日を追って強くなりつつあるように思いますが、冷静に考えて
みればドイツの目指すやり方・・・すなわちQEに頼らず我慢し、
構造改革によって赤字を減らしつつ経済成長を目指す手法が、
むしろ正しいのではないか・・・

逆に私たちが今進もうとしている道のほうが、
もしかしたら誤った道なのではないか・・・

こんな風に思えてもきます。

では今回はこのへんで。

(2014年11月4日)




 




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