原油が下がると何が起きるか

みなさんこんにちは。

昨年秋以降、原油相場の下落が急ですね。

原油価格の下落は一般的に世界経済にとって
プラスだと言われていますが、本当でしょうか。

今回はまずそのあたりから考えてみたいと思います。

そもそも原油とは何でしょうか。

もちろんエネルギーを生み出す物質の一つで、
人間の経済活動にとってなくてはならないモノでは
ありますが、別の側面から見ると、人間同士が富(とみ)の
やり取りをする媒体にすぎないという見方もあってよいでしょう。

つまり産油国の住人は、原油を消費国に売ることによって
富を手に入れ、逆に消費国は原油輸入の対価として、
富(とみ)を譲り渡しているとも言えるわけです。

この取り引きは、地球規模でみれば富(とみ)の絶対量に
変化を及ぼすことはありません。

従って原油の相場が上昇しようが、下落しようが関係なく、
地球規模で見ればチャラのはずです。

ただし富(とみ)が移転先で、どのように活用される
かによって、地球規模で見た場合の富の総量は
違ってくるのではないでしょうか。

例えばロシア。

かつて原油が高かったころ、同国の富裕層による
高額消費がよく世界のニュースになったものです、
数千万円もする携帯電話や腕時計、億単位の値がつく
クルーザーなど・・・あの消費はいったいどこへ
いってしまったのでしょうか。

あるいは中東の王族の贅沢三昧な生活。
彼らは(投資を除き)、世界経済に何らかの貢献を
したでしょうか。

仮に同じ富が日本や欧米に残っていたとしたら、
世界の今は随分と違ったものになっていたはずです。

そのような観点でみますと、原油価格の下落は、
世界経済に対して好ましい影響を与える
といってよいと思います。

ただしこのような好影響が顕在化するまで、
相応の時間がかかることになるでしょう。

一方で短期的にみると、いくつかの注意すべき点が
あるように思います。

先週のメルマガでも指摘させていただきましたが、
一つ目は産油国経済の悪化による、世界経済への負荷です。

すでにロシアやベネズエラなど、少々不安を抱かせる国があり、
いずれこのような産油国発の危機が、世界経済に動揺を
与えるときがくるかもしれません。

もう一つは、さきほども少し触れましたが、産油国の
政府系ファンドの縮小懸念です。

サウジやクウェート、UAEなど、産油諸国が運営する
政府系ファンドは巨大で、仮にこれらの国で
財政が悪化するようなことが起きれば、彼らは政府系ファンドの
一部を売却し、財政を補てんするかもしれません。

この場合、世界の株価下落という経路で、
実体経済に対し悪い影響がでると覚悟しておくべき
ではないでしょうか。

このように原油価格の下落の影響は複雑です。

長期的、例えば数年という単位で原油価格が低位安定すれば、
それは世界経済にとって大変好ましい影響を与えると思います。

一方で逆に原油安が急速に進む、あるいは例えば20ドル割れ
といった極端な安値まで進むことがあれば、たとえそれが一時的な
ものであれ、世界経済が予測不能な状態に陥る要因に
なりうるでしょう。

 

では今回はこのへんで。

(2015年1月20日)




 




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