コインを通して歴史を学ぶ

みなさんこんにちは。

今回は久々にコインのお話をさせてください。

イギリス中世のコインには、いろいろ面白いエピソードが
あります。

例えばアン女王時代(在位1702年-14年)に鋳造された
金貨や銀貨、女王の肖像面を注意深く見ると、
肖像の下にVIGOと文字がかかれたコインがあります。

見落としてしまいがちなこのVIGO、意外にも
深い意味が込められているのですよ。

当時国力にややかげりがあったスペインの艦隊が、同国のVIGO湾で
停泊していたおり、イギリス艦隊が急襲を加え全艦を拿捕、
押収された金銀塊から作られたコインが、この
VIGOコインというわけです。

それにしてもすごいですね、例え戦艦とはいえよその国の
船につまれていた金塊、銀塊を押収し、それでコインを
作るなんて・・・

出来事としても面白いですが、無敵艦隊時代のスペインが
凋落期に入り、代わってイギリスが覇権を握る過程で
起きた象徴的な戦闘という意味で、欧州史に刻まれる
出来事だったと言えるのではないでしょうか。

さらにそれが300年後のコイン相場を左右しているのも
面白いと思います。なにしろこのVIGOがあるとないでコイン
の価格は全然違ってきますので。

例えば5ギニーと呼ばれる最も大型の金貨の場合、
VIGOコイン(美品クラス)が約2000万円、これに対し
通常コインはその1/10の200万円ほどにすぎません。

2000万円の金貨を買える人は、そういらっしゃらないと
思いますが、銀貨なら射程圏です。

最大の銀貨はクラウン貨ですが、これにもVIGOコインはあります、
同じ美品クラスでこちらは約20万円、金貨と比べてお手頃です。
ワンランクうえの極美品クラスでも40万円ほど。

アン女王のVIGO型は、ほかの小型金銀貨にもありますので、
もし見かけられたらお買いになるとよいでしょう、
将来の価値上昇も楽しみです。

アン女王の次の次の王様、ジョージ2世(在位1727年-60年)
時代に発行された金銀貨には、LIMAという文字がかかれた
コインがあります。

当時あるイギリス海軍の提督が、世界一周航海の途中、
(多分ペルーのリマなどで)略奪した金銀を持ち帰り、
鋳造された金銀貨がLIMAコインです。

このコインは上記アンのVIGOと違い、希少性はさほど
なく、通常貨とほぼ同じ価格で売買されています。

ちなみに大型金貨の5ギニー貨(美品)で200万円ほど、
大型銀貨のクラウン(同)で15万円也。

こっちは少し安いでしょ、安いですがVIGOに劣らず、
上記のように面白いエピソードを持っていますので、
歴史がお好きな方、いかがでしょうか。

他にもジョージ2世の金銀貨には、E.I.Cと書かれた
コインもあります、EICはEast India Company、
イギリス東インド会社です。こっちは戦利品ではありませんが、
インドもしくはインド近辺で採掘された金や銀で
鋳造されたコインです。

今から約300年前、イギリスとスペインが海上で大砲の
打ち合いをし、イギリスが拿捕したスペイン戦に積まれていた銀塊・・
その銀で作られたコインが今自分の手のひらにのっかっていると
考えると、歴史好きな僕はもうたまりません。

多分僕以外にも世界中に歴史好きは大勢いるはず、
だからコインは相場が崩れにくいのだと思います。

 

では今回はこのへんで。

(2015年2月4日)




 




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