■正常なのか、低金利
みなさんこんにちは。
世界的な低金利化傾向がどんどんと進行しているようですね、
以前は我が国の低金利が、世界的にみて異常と見られていましたが、
今では低金利化、すなわち日本化が、世界の先進国の当たり前に
なりつつあるといってよいでしょう。
欧州はその典型で、ユーロ圏で約半数の国の中短期債は
既にマイナス金利の状態になっていますし、スイスでは
長期債ですら一時マイナス金利を記録しました。
それにしても長期債がマイナス金利とはすごいですね、
企業や個人の資金ニーズが小さいという理由もありますが、
日銀やECB(欧州中央銀行)など、主に先進国で採られている
流動性供給策(QE)の副作用という面もあるでしょう。
中央銀行が大量の国債を買うものだから、国債の価格が
上昇し金利が低下するという構図です。
人間の心理は不思議なもので、たとえそれがよほど異常な
状態であっても、長期間続けば当たりまえになり、
誰もその状態に疑問を持たなくなるものです。
かくしてその異常な状態に適応して、
社会が機能し始める・・・
私たちの社会もちょうど今、この異常な低金利状態に
ならされつつあるのかもしれません。
ただし市場の正常化は、えてしてそのようなときに起きるもの・・
1990年に起きた我が国のバブル崩壊のときも、
2007年に起きたサブプライム・ショックのときもそうでした。
日銀も、ECBも未来永劫国債を買い続けられる
わけではありません。
巨大の買い手がいなくなった国債は、
いずれ正常な相場に戻るのではないでしょうか。
突然国債のバブルがはじけ、金利が急激に正常化、つまり
急騰するようなことが起きた場合、いったいどのようなことが
起きるのでしょうか。
正常化が緩やかに起きるケースでも、金利の上昇は幅広く
社会に大きな影響を与えますので、私たちの生活は、
深刻な影響を受けると覚悟しておくべきでしょう。
金利の上昇がゆっくり進んだ場合でも、
例えば住宅や投資用不動産を変動金利で借りている人は、
深刻な影響を受けざるをえないでしょう。
かつての低金利を見てしまった人は、
なかなか金利の上昇期に、固定金利に変更できないものです。
コントロールできないリスクを取るか、
多少返済が大きくなっても、それはコントロール可能と
考えるか・・・
このような判断が求められていると思います。
急激に金利の上昇が進んでしまった場合、さらに大きな混乱が
予想されます。
最も大きな影響を受けるのは、最大の借金の主体、
すなわち政府でしょう。
今の政府には、国債の利払いが見積もりより少ないことに
安心しきっているのようなところがあると思います、
この場合どうしても財政は放漫になりがちです。
本来は国債の利払い費が抑制されている今のうちに、
財政の均衡を急ぐべきではないでしょうか。
金利の急騰に対し、いまの政府が何らかの備えを
もっているようにはみえません。
国債を大量に保有する主体でも、問題が生じるでしょう、
銀行、生保など金融機関、年金も打撃を受けるでしょう、
金融機関のバランスシートが悪化すれば、リーマン・ショック
の再来です。
この場合は私がいつも申し上げるように、
資産の地理的分散と質的分散の組み合わせ、
採りうる手段はおそらくそれしかないでしょう。
いずれにしても、いまのうち準備しておくにこした
ことはありません。
では今回はこのへんで。
(2015年2月24日)
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