■熱いところと冷たいところ
みなさんこんにちは。
米国は去年QEを卒業しましたが、依然ゼロ金利状態が
続いています、米国におくれてQEを実施した日本と欧州は、
まだQE停止が視野に入っていません。
従って先進国全体で見ると、中央銀行が供給するマネーの
総量は拡大を続けていることになるわけです。
過剰に滞留するマネーは行き場を探し、既に一部の市場では、
バブル的な兆候もみえます。
例えば米国のバンクローン市場。
BB各以下のヤバイ企業への銀行融資(いわゆる「レバレッジドローン」)が、
異常な高値まで買い進められた結果、すでに利率は5%半ばまで
下がってきているようです。
5%半ばといえば、あのリーマン・ショック直前の米国10年債の
利回りと同等です、どう考えても買われ過ぎではないでしょうか。
同様にハイイールド債市場でもバブルの兆候が見えます、
ハイイールド債の発行残高は、リーマンショック以降しばらく
伸び悩んでいましたが、いまでは「猫も杓子もハイイールド」という
感じ・・・直近の残高は2008年末比で2.5倍程度まで増えています。
買われ過ぎ感が目立つのは、このようなジャンク市場だけでは
ありません、米国債や日欧の国債から優良企業が発行する社債まで、
すでに歴史的な低金利(価格は上昇)をつけており、これはもう
バブル的と言ってよいのではないかと思います。
大量に供給されるマネーによって、このようにバブル化する
市場がある一方で、異様に冷めた市場もあります。
原油や貴金属、農産物など、いわゆるコモディティ市場が
それです。
マネーから見向きもされず、息をひそめてただ
ただ出番を待つ・・・こんな感じもしないでは
ありません。
シェールオイルとの比較で、各国の産油コストがよく
話題に上りますが、採算コスト割れを起こしているのは
原油だけではありません。
例えば金(Gold)の産出コストは1オンス=1200ドルとよく言われますが、
現在の金価格はオンスあたり1100ドル台です、同様にプラチナの現在価格
1オンス=1100ドルは、産出コスト1400ドルを大幅に下回っています。
南アフリカの通貨安によって、上記産出コストは多少下がって
いるかもしれません、それでも鉱山がペイしづらい状況にある
ことは間違いないでしょう。
世界のマーケットをこのような対比を眺めますと、ホントに面白いですね、
大量のマネーが流れ込みバブル化する市場がある一方で、
マネーから見向きもされず、採算コストすら割れて、
異常な安値に放置されてしまう市場もある・・・
人間の集団心理が作り出す、不思議な現象を見る思いがする一方で、
このあたりに投資で勝つヒントが隠されているような気もするわけです。
では今回はこのへんで。
(2015年6月10日)
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