■中国の立場で考えれば
みなさんこんにちは。
ここのところ中国経済の減速傾向が鮮明になってきました。
4-6月期の経済成長は、当局目標の7.0%スレスレでしたし、
企業の景況感や個人消費にも減速が目立ち始めました。
中国の減速は私たち日本人にとっても、無縁ではありません。
既に中国向けの輸出や受注に陰りが出てきた会社も
ありますし、日本株の動揺を通して、私たち個人投資家も
影響を受けました。
でもこの現状に対し、一番大きな懸念を抱いているのは、
おそらく中国自身、さらにいえば中国共産党では
ないかと思います。
同国の最近の振る舞いに、やや強引なところがみられるという
のは、おそらく世界共通の見方ではないかと思いますが、
その背景に、急速な経済成長に対する自信があるのは
間違いないでしょう。
国内に巨大な消費市場があるという事実は、
外交上の大きな武器になりえますし、巨大な経済力は、
経済協力や投資への期待を通して、周辺の新興諸国に
対する無言の圧力になるはずです。
一方で同国の経済力に陰りが出てきた場合、
いったいどのようなことが起きうるのでしょうか。
例えば今問題になっている南シナ海での岩礁埋立。
以前開かれたASEANの首脳会議では、中国への
配慮がみられたものですが、先日の同会議では、
少し風向きが変わってきたようにもみえます。
中国配慮側だったインドネシアやカンボジアすら、
中国の強硬な姿勢に対する反発がみられたようです。
いま進行しつつある中国経済の減速が、周辺国との
力関係に、微妙な影響を与えているのは間違いないでしょう。
さらに突き詰めて言えば、同国の場合、経済の減速は
外交力の劣化に直結しているといってよいのではないでしょうか。
どの国でもそのような面はありますが、同国の場合
特にその傾向は顕著ではないかと思います。
このような観点で、おそらく今中国の当局者は、
経済の減速に対して、相当な危機感を抱いていることは
間違いないでしょう。
この状況を放置すれば、いずれ彼らが最も恐れる
国民の不満へ点火するかもしれません。
ここ数年「経済の新常態」をスローガンに、
安定した成長路線を歩もうとしてきた中国ですが、
その姿勢はいつまで続けられるのでしょうか。
「背に腹は代えられない」という言葉があります・・・
「新常態」に伴う思わぬ副作用を目の当たりにし、
思い切った経済加速への何らかの手立て。
例えば手っ取り早いところでは地方のインフラ整備や、
消費拡大策など、既に大規模な準備がはじまって
いるのかもしれません。
では今回はこのへんで。
(2015年8月6日)
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