米国超長期債の使い方

みなさんこんにちは。

このメルマガをお読みの方は、資産運用に関して
お詳しい方が多いのではないかと思います。

が、それでも債券について正確な知識をお持ちの方は、
案外と少ないのではないでしょうか。

債券、特に国債の特徴として挙げられるのは、
そのリスク特性ではないかと思います。

例えば株式と比べますと、その価格変動リスクは
限定的で、株のように一年のうちに数十パーセントも
上下するということはめったにありません(注)。

注)これは米国債や日本国債のように破たん確率の低い債券の
  場合であって、ギリシャやアルゼンチンのような格付けの
  低い国の国債や、低格付けの社債のお話ではありません。

一方でリスクとリターンはコインの裏表で、一般に
安全性が高いと考えられている国債は、リターンもまた
限定的です。

ではこのリターン・・・いったいどの程度なのでしょうか。

長期国債の代表選手は、発行されてから10年後に償還
(買い戻される)される国債、つまり「10年物国債」です。

従ってまずその10年債の利回りから見ておきましょう。

以下は先進諸国が発行する10年債の利回りです。

・米国⇒2.2%
・日本⇒0.4%
・英国⇒1.9%
・ドイツ⇒0.6%

注)2015年8月19日現在の概数

いかがでしょうか?

長らく低金利が続く我が国はやむを得ないですが、
米国や英国をみても、わずか2%前後に過ぎません。

これはどういうことかと言いますと、仮に皆さんが
1000万円の余剰資金をお持ちで、その全額を先進国の
国債に投じても、年間で得られる収益は、税引き前
ベースでもせいぜい20万円ほどにすぎないということです。

これを現実の家計にあてはめて考えるとどうでしょうか。

このメルマガの読者は比較的裕福な方が多いと
思いますので、ここでは年間500万円の生活費がかかる、
ややリッチな「リタイア後世帯」にあてはめて
考えたいと思います。

年間の世帯支出500万円・・・これは私たちが想定する、
いわゆる『余裕あるリタイア世帯』の平均的な支出額で、
例えば持家あり、借金なしで、年数回の海外旅行を
ご夫婦で楽しまれるといった、比較的余裕あるご家庭の
イメージです。

仮にこの世帯が受け取る年金を300万円とした場合
どうでしょうか。

このケースでは生活費500万円と年金受給額300万円の差額、
すなわち200万円を、国債の運用によって賄う必要があるわけで、
この場合1億2500万円(注)ほどのお金を投入しなければなりません。

注)200万円÷2%=1億円(税引き前)
  1億円÷80%=1億2500万円(税引き後)

いくら安全資産と言えども、米国債には為替の変動リスクがあります、
よほどの資産家でなければ、米国債に1億2500万円を投入するのは、
難しいのではないでしょうか。

では国債への投資によって、もう少し高い収益を得る方法は
ないのでしょうか。

答えはアリです。

一般に債券の利回りは、債券の償還期間(あるいは
残存期間)が長ければ長いほど高くなるという性格を
持っています。

どういうことかと言いますと、例えば10年債より
20年債のほうが利回りは高く、その20年債より
30年債のほうがさらに利回りは高くなる傾向に
あるということです。

例えば米国債を例にとってみてみましょう。

以下は昨日(2015年8月19日)現在の、銘柄別の
利回りです。

1.2025年8月15日償還(残存期間約10年)⇒2.111%
2.2031年2月15日償還(残存期間約16年6ヶ月)⇒2.468%
3.2041年2月15日償還(残存期間約26年6ヶ月)⇒2.764%
4.2043年2月15日償還(残存期間約28年6ヶ月)⇒2.84%

この例から残存期間が長い国債を購入することによって、
より高い収益を得られることが解ります。

先ほどの例で、皆さんが200万円の収益を国債への投資から
得ようとする場合、1億2500万円の資金が必要だと申し上げましたが、
仮に上記の4、即ち残存期間が28年の超長期債で運用すれば、
どうでしょうか。

この場合、年間で200万円の収益を得るための必要資金は、
8800万円程度ですむことになります。

注)200万円÷2.84%≒7042万円(税引き前)
  7042万円÷80%≒8800万円(税引き後)

大きなお金が必要であることには違いありませんが、
それでも先ほどの例と比べると、3700万円ほど節約が
可能です。

注)文字数の制約から触れませんが、超長期債には
  収益率の高さにみあったリスクもありますので、
  その点はご注意ください。

超長期債を購入する場合、上記のような国債の個別銘柄
以外にも選択肢はあります。

それは超長期債ETFを買うという方法です。

例えばバンガードの超長期債ETF(ティッカーはEDV)という
銘柄がありますが、このETFは残存期間20年から30年の
米国債に分散投資しており、保有する国債の残存期間が20年を
下回りますと、自動的に銘柄の入れ替えを行ってくれます。

現在の一株当たりの価格は約121ドル(昨日現在)で、
分配率は約3%(税引き前)です。

個別の債券の管理が面倒だと感じられる方は、
超長期債ETFも選択肢にされるとよいでしょう。

 

では今回はこのへんで。

(2015年8月20日)




 




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