■ゼロクーポン債の売り時は
みなさんこんにちは。
数年前の円高時に購入したゼロクーポンの米国債に、
大きな含み益をお持ちの方も、結構いらっしゃるのでは
ないでしょうか。
ゼロクーポン債というのは、文字通りクーポン(利札)が
無い債券で、割引発行される代わり、保有期間中は1ドルの
利子も受けることはできません。
ただし額面100ドルの国債が、例えば50ドルといった
価格で販売されるため、投資家は買値と100ドルの差額を、
その債券の満期時点で、一気に利益として手にすることができる
わけです。
このゼロクーポン債・・・なかなか使い勝手が
良いのですよ。
償還時期(満期)が決まっていますから、例えば
年金の空白期間である60歳時点から65歳時点まで、
毎年10,000ドルずつ満期を迎えるように償還時期を
分散して購入しておけば、米国政府が破たんしない限り、
必ず計画通り毎年10,000ドルずつ得られます。
従ってライフプランとの整合性をとりながら、
なおかつ安全に運用することが出来るといってよいでしょう。
しかも上記のように額面100ドルに対して割引発行
されますから、例えば10年後の10,000ドルを、いま8,000ドル
で買うといったことが可能になるわけです。
注)税金は考慮しておりません。
ただし現在米国も低金利状態が続いておりますので、
買い場については十分な検討が必要です。さらに10年後の
円ドルレートによっては、円ベースでみて損失が出る可能性
もあります。
それらを加味しても、ミドル・リスクの外貨建て資産としては、
十分検討に値する金融商品だといってよいでしょう。
さてさてこの使い勝手のよいゼロクーポン債、
来年から課税の方法が激変しますので要注意です。
上記のようにゼロクーポン債の長所はいくつかあるのですが、
課税方法という観点でみても、(今のところは)大変有利な
特徴を備えています。
特に満期前に売却した場合の取り扱いです。
注)満期まで保有してしまえば、雑所得として
もうけがストレートに総合課税の対象になりますので、
要注意ですよ。
例えば株を売却すれば20%の分離課税の対象になり、
実質的な手取りは値上がり部分の80%程度になってしまいますが、
ゼロクーポン債を満期前に売却した場合、株と違って
20%の分離課税は適用されません。
少し複雑ですが、まず儲かった金額(譲渡益)から50万円が
控除され、さらに保有期間が5年を超える場合は、その50万円を
控除したあとの金額を半分にたうえで、他の所得に合算して
総合課税の対象にします。
例えば10年前に100万円で買ったゼロクーポン債を、
200万円で満期前に売った場合、総合課税の対象になる金額は、
以下のように計算できます。
・売却益⇒200万円-100万円=100万円
・売却益から50万円を控除した金額(2)⇒100万円-50万円=50万円
・さらに(2)を半分にした金額⇒50万円÷2=25万円
つまりこの場合儲け100万円に対して、25万円のみが
総合課税の対象になります。仮にその年の税率が30%であれば、
実際に支払う税金は7.5万円に過ぎません。
注)25万円×30%=7.5万円
従ってこの場合の税率は7.5%となります。
注)7.5万円÷100万円=7.5%
もちろん人それぞれ総合課税の税率は異なりますし、
ゼロクーポン投資の額や利益によっても、実質的な
税の負担率は異なります。が、おしなべて言えば
投資家にとって、有利な税制であることは間違い
ないでしょう。
さてこのセロクーポン債。来年1月以降は残念ながら、
株と同じく一律20%の分離課税になってしまいます。
上記の例にあてはめて考えますと、売却益100万円に
対して一律に20%の税率が適用され、他の所得かかわらず、
20万円の税金ということになるわけです。
以上ゼロクーポン債のお話しばかりしてきましたが、
来年からすべての公社債に関する税の取り扱いが大幅に
変わります。
例えばMMFを含む利付債の(為替差益を含む)売却益は、
現在なんと大盤振る舞いの非課税ですが、来年以降は
株と同じく20%の分離課税です、円高時代に購入し含み益がある方は、
非課税のうちに売却するのも選択肢でしょう。
このように債券に関する課税方法の変更を、知っているのと
知らないのでは大きな違いが出てきます、皆さんも十分に
ご注意ください。
では今回はこのへんで。
(2015年9月4日)
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