コイン投資の効用

みなさんこんにちは。

なにをこの荒れ模様のなかに・・・とお思いの方も
おいででしょうが、相場が荒れている今だからこそ、
今回はコインの話しをさせて頂きます。

クラシック・コインへの投資は、いろいろな効果が
あります。

まず資産の分散効果です。

株やコモディティなどは、いずれも景気の
変動に引っ張られやすい金融商品で、例えば今のように
中国経済の減速が意識されますと相場は大きく下げます。

逆に世界経済の先行きに明るい兆しが出てきますと、
相場は上昇に転じるわけです。

長期的に持っていれば、相場は変動を繰り返しながらも
いずれ上昇してゆくものなのですが、
それが解っていても短期的な相場の下落は、
ストレスになりがちです。

これに対しコインはどうでしょうか。

そもそもコイン収集の世界は嗜好性が高く、今のところ
投機的マネーの流入はみられません。

これはどういうことかと言いますと、株やコモディティの
世界・・・つまり外界でどのようなことが起きてもあまり関係なく、
コインの相場にはほとんど影響を与えないということです。

例えばリーマン・ショック時の英国コイン・インデックス(注)
をみても、これは明らかです。

注)英国のStanley Gibbons社が作成する英国コイン指数。
  僕の知る限り世界で唯一のコイン・インデックスです、
  これによればリーマン・ショックがあった2008年ですら、
  英国コインの価格は上昇しています。

あるいは先日東京で開催されたCCFコイン・オークションの
結果をみても同様の傾向があり、中国株の急落にもかかわらず、
同国コインの落札価格は順調に伸びました。

そもそも株やコモディティを好む短期のマネーは、
コインの世界には入らないということを、上記は裏付けて
いるといってよいでしょう。

次は当局の過剰流動性政策に対する防衛効果です。

ご存知のように先進諸国の中央銀行は、ここ10年ほど
紙幣の印刷量を増やしてきました、もちろんこれは金融危機から
の脱却を目指したものではありますが、結果として市場に、
膨大な紙幣が滞留する状態になってしまいました。

一方で紙幣の対極にある現物資産のほうは、急には
増えません。

この結果、紙幣と現物資産とのあいだには、稀に見る
アンバランスな状態が生まれてしまったといってよいでしょう、
しかも懸念すべきことに、今後この状態が解消される見通しは
ありません。

このような状況で、資産の大半を紙幣に代表される紙の資産へ
集中させたとすれば、私たちはおもわぬリスクを背負うことに
なるでしょう。

私たちがとれる唯一の防衛策は、紙の資産から
現物の資産への一部シフトしかないのではないでしょうか。

クラシック・コインが、不動産と同じく、
現物資産の性格を持っているのは言うまでもありません。

三つ目は趣味の対象として、私たちの生活を
豊かにしてくれるという効用です。

ただしこの効用を受けられる人は、ほんの一握りの人で、
歴史や社会に興味のない人にとって、この効果は
期待できません。

逆にいえば歴史や地理、社会などがお好きな方にとって、
コイン収集は単なる資産運用の枠を超えたものになるはずです。

コインにはそれぞれの歴史があります。

終戦直後アメリカ軍に接収され、それ以来50年以上も財務省の
金庫で眠っていた明治の金貨たち・・・

スペインのビーゴ湾に停泊中の船団を英国海軍が急襲し、
強奪した銀で鋳造されたイギリスの銀貨・・・

沈没したカリブの海賊船から、400年ぶりに引き上げられた金貨・・

いま僕の手の中にある金貨や銀貨が、いったいどのような人の
手を経て自分のもとにやってきたか・・・そして彼らがこの
コインと引き換えに、どのようなものを手に入れ、どのような
夢を実現してきたのか・・・

酒など飲みながら空想するだけで、それは楽しいものです。

ここ数日相場が荒れて辛い思いをされておいでの
方も多いでしょうが、このようなスローな投資もまた、
良いものです。

 

では今回はこのへんで。

(2015年7月8日)




 




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