中国経済の減速と世界

みなさんこんにちは。

中国経済の減速は、もう随分と前からわかっていたこと
ではありますが、実際に起きてみますと、あらためて
その影響の大きさに身構えざるをえません。

世界の株価は一斉に下落し、
多くの商品相場は採算ラインを割り込み、
そして再び先進国の国債が買われました。

相場だけではありません。

経済の実態に目を転じても、米国の雇用統計に黄色信号が
ともったように見えますし、同国の企業業績も四半期ベースで
減益に転じる見通しです。

ガソリン安、低金利、株高の3点セットで
米国の自動車販売は好調ですが、それもいつまで続くのでしょう。

ここ数年、比較的堅調な米国に牽引され、世界経済は
なんとか持ちこたえてきた格好ですが、果たして中国の
減速という新しい逆風が吹くなか、世界の景気は、
これからも堅調さを維持できるのでしょうか。

結論から申し上げますと、僕は危うくなってきて
いるように思います。

確かに中国は、景気の減速に対する処方箋を
豊富に持っています。

金融緩和の余地はまだありますし、先進国と違って
財政にも余裕があります、いざとなれば巨額な財政出動も
不可能ではないでしょう。

米国にも打つ手は残されています、
既に秒読み段階に入った利上げをFRBが見送るだけで、
実体経済に対して一定の効果があるでしょう。

ただし両国とも、その最終手段の実施には大きな副作用が
伴います。

まず米国です。長い時間をかけて利上げを市場に織り込ませて
きましたが、もし近々利上げができないとすればどうでしょうか・・

失業率だけをみれば米国は既に完全雇用の状態にあります、
この状態ですら金利の正常化に着手できないのなら、
一体いつ金利が市場に戻るのか・・・

FRBに対する信認は失われ、市場で不測の事態が起きないとも
いいきれません。

中国はどうでしょうか。

伝家の宝刀、大規模な財政出動を行いたいところではありますが、
当局には躊躇があるでしょう。

2009年に実施した4兆元の景気対策の結果、民間企業の設備や、
地方のインフラなどは過剰に積まれ、それがいま中国停滞の
要因の一つになっていると言われています。

目先の苦痛から脱出するために、再び苦痛の種を蒔くでしょうか・・・

景気対策をやるなら控えめに、地方のインフラ投資や
環境対策のための投資など、小出しにするのがせいぜいでは
ないでしょうか。

以上のような米中の現状を踏まえますと、中国の減速は
今後も続き、一方でそれを穴埋めする力を、米国に
期待しづらいのでないでしょうか。

目先世界が景気後退期に入るとは考えていませんが、
今後数四半期にわたり、世界経済の減速傾向は強まる
のではないかと僕は思います。

株価は既に何かを予感しているような動きですが、
まだ十分に織り込んでいるようにはみません。

私たち個人投資家も、一定の対策が必要では
ないでしょうか。

 

では今回はこのへんで。

(2015年10月6日)




 




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