■消費税はどこまで上がるか
みなさんこんにちは。
我が国の財政は果たして維持可能なのか・・・
もう何年も前から言われてきたことです。
この問いに対する答えは、いまのところ
大きく二つに収れんしつつあるように思います。
一つ目は「当面は維持できる」といった考え方で、
その根拠は以下二つです。
1.日本国債の保有者の90%以上は国内勢で、日本人が
日本国債を買い続ける限り我が国の財政は破綻しない。
2.日本の消費税率は先進国の中で突出して低い。消費税を
欧米並みに上げるだけで、我が国財政は維持できる。
これに対し二つ目の考えは「我が国の破たんは近づいている」
というもので、この考えを持つ人は逆に上記2つの根拠に対し、
以下のように反論することが多いようです。
1.日本の貯蓄率は下がっている、このまま進めば
日本の個人金融資産は減少に転じ、国債の購入を増やすこと
はできない。
2.例えば向こう10年ほどで我が国の消費税率を、欧米並みの
20%程度にあげるなど非現実的だ、10%への引き上げすら
できるかどうかわからない、仮に20%まであげるとすれば
消費は落ち込み、税収全体でみれば逆効果だ。
僕自身は6対4ぐらいで、後者の言い分に賛成です。
最近僕は伊藤隆敏さんの『日本財政「最後の選択」』
という本を読みました。
過去随分とこのテの「日本財政破綻本」を読んで
きましたが、その大半は危機を煽り立てるだけで、
この本のように数値によって、客観的なアプローチを試みる
ものではありませんでした。
この本では具体的に
・日本経済の成長率
・消費税の引き上げ率
・国債の利子からえられる収入が、どの程度国債に再投資されるか
の3つの要素から、我が国財政が破たんする時期を特定しています。
伊藤さんの計算によりますと、我が国破綻のシナリオは
概ね以下のようになるそうです。
1.消費税が10%で据え置かれた場合⇒2022年-2025年に破綻する可能性大
2.2020年までに消費税が15%に上がった場合⇒2025年-2030年に破綻する
可能性アリ
3.2025年までに消費税が20%以上に上がった場合⇒ほぼ破たんは免れる
ただし上記試算は経済成長率1%程度と、中程度の成長率を
想定したものだそうです。
上記伊藤さんの試算が、どの程度に的を射たものかは
解りませんが、少なくとも以下の点は心にとめておくべき
ではないかと思います。
1.我が国財政が維持できるか否かは、今後の消費税の上げ幅に
大きく依存するであろうという点。
2.そして消費税率の引き上げのペースを遅らせると、それだけ
破綻の可能性が高まるであろうという点。
3.消費税を欧米並みの20%にあげなければ、破綻の
可能性は高くなるであろうという点。
ここで僕の考えは、最初に戻ってしまうわけです。
つまり「そんな速度で消費税をあげて、日本の経済はもつのか」
という疑問です。
もし伊藤さんの試算のように、2020年に15%まで引き上げる
とすればどうでしょう。
既に2017年に10%は決まっていますが、さらに
そこから3年で5%引き上げなくてはなりません。
急な消費税の引き上げは個人消費を冷やし、
かえって税収全体を減らしかねません、
日本経済の体力を診断しながら、よほどうまく消費税を
あげてゆかなくてはならいでしょう。
時の政府に、その見識と決断力があるか否か・・
おそらくそこが問題の核心ではないかと僕は思います。
では今回はこのへんで。
(2015年10月13日)
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