■過剰なマネーと資産防衛
みなさんこんにちは。
そもそもなぜ世界の中央銀行は、これほどまで大量の
通貨を供給しなければならなくなってしまったのでしょう・・・
2008年から直近までのお金の供給量(注)を
見ますと、米国ではFRBが430兆円以上のお金を供給し、
欧州ではECBが170兆円以上を供給しました、日銀の
同期間の供給量は約250兆円です。
注)ここではマネタリーベースのことを指します。
あわせて850兆円以上・・・2008年時点の3極中銀の
資産合計は約400兆円だったので、この間日米欧の中央銀行は、
自らの資産の2倍以上のお金を市場に供給してきたといって
よいでしょう。
考えてみれば怖いことです・・・
先進国はどこも財政がひっ迫しており、景気の停滞期に
安易な財政出動は行えません。
低金利への誘導によって景気浮揚を図ろうとしても、
日米欧とも既に目いっぱい短期金利は下げており、
これ以上の利下げ余地はありません。
残された唯一の手段は通貨の供給で、
その行き着いた先が現状というわけです。
では中央銀行にとって次の一手はあるのでしょうか・・・
既にECBがやっているように、マイナス金利の導入(注)
という手はあるかもしれませんが、ECBの先例をみても、
この政策が大きく機能したようにはみえません。
注)民間の銀行が、中央銀行に預ける預金に対する利子を
マイナスにすることによって、市中に流れるマネーを
増やそうとする政策です。
そもそも最終手段がQE(通貨供給量の拡大)だったからこそ、
ここまで長期にわたって日米欧の中銀がQEに頼りつづけた
わけであり、おそらく今後もQE以外の有効な手段は見つけ
にくいのではないでしょうか。
ではこの先いったいどのようなことが起きるのでしょうか。
例えば日本の場合、政府が新規に発行する国債の額は
年あたり40兆円ほどです。これに対して日銀は年間80兆円ほど
のハイペースで、市中から日本国債を買い続けているわけです。
その結果、市中で流通する国債は枯渇し、
すでに国債の市場はいびつな状態になっていると
いってよいでしょう。
一方で日銀が国債購入の対価として市場に供給した円紙幣は、
市場で循環することなく、その大半は再び0.1%の金利(注)を
めざし日銀の手元に戻ってしまいます。
注)日銀が民間の銀行から受ける当座預金に対して与える利息です、
現状では0.1%の付利があります。民間の銀行は、リスクゼロで
得られるこの0.1%の金利に魅かれ、日銀に当座預金を積み上げる
わけです。
つまり日銀の手元には、市場から購入した日本国債と、
国債購入の対価として支払った円紙幣が、着々と積み上がって
いるわけです。
これもまたかなり不健全な状態といってよいでしょう。
大量に供給されたマネーが何らかのショックで反乱を起こし、
生みの親すなわち中央銀行にとって、手におえない状態に
至ることはないのでしょうか・・・
漠然とした不安が僕にはあります。
可能性は決して高くはないと思いますが、
このような事態に対し、私たちも一定の備えをもっておくべきでは
ないかと思うわけです。
では今回はこのへんで。
(2015年10月23日)
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