■見えてきた金融政策の限界
みなさんこんにちは。
今年に入って世界的に株価が下がっていますね。
中国経済の減速、
原油相場の下落による産油国経済への懸念、
米国の利上げによる警戒感の高まり、
悪材料がこれだけそろうと、やむをえないところでは
ないかと思います。
株価の下落は、直接的にも間接的にもヒトの心理に
悪い影響を及ぼします、「景気は気から」などとよく言いますが、
このような状態が長く続きますと、やがて実体経済に波及し、
本当に景気後退に陥ってしまう可能性すらあると思います。
そのようなことにならないよう、政府や中央銀行は、
さまざまな対策を実施しなくてはなりません。
政府の役割は財政の出動です、長期的には規制改革や
効率のよい財政の執行など求められますが、危急のときに
そんな悠長なことは言ってられません。
手っ取り早く景気後退を食い止める策は、財政の出動が
中心にならざるをえないでしょう。
ただしコレは簡単ではありません、我が国はもとより
欧州にせよ米国にせよ、すでに財政状態は危機的で、
ここから大幅な財政出動は難しいでしょう。
これ対し中央銀行には、いくつか打つ手が残されています。
まず米国は利上げのペースダウンを示唆することができるでしょう、
この場合、市場に幾分の安堵感を与えることはできるはずです。
それでも効かなければゼロ金利への回帰です、さらに振出しに戻り、
4回目のQEという最終手段もあります。
欧州と日本はすでにゼロ金利状態ですが、追加のQEを行うという
手が残されています。
各国がバラバラに行うより、日米欧の3極が協調して
このような行動をとれば、市場の心理は一気に好転するかもしれません。
いずれにしても、このままの状態を放置しておくことは危険で、
上記のように日米欧は、中央銀行による行動を
急ぐ必要があると僕は思います。
ただしその先はわかりません。
今回もし景気後退を回避できたとしても、そのあとは
どうなのでしょう・・・
いまのところ中国に代わるけん引役は見当たらず、
一方で日米欧も低体温気味です。
したがって世界経済は、今と同様に常に景気後退の影に、
怯え続けなければならないでしょう。
つまり中央銀行頼みの「ゼロ金利+QE」は、今後も続かざるを
得ないというわけです。
そして「ゼロ金利+QE」頼みが続くとしたら、
世界は今まで以上にマネー過多の状態にならざるを得ません。
しかもこのマネー過多の状態に、世界経済のシステムが、
どこまで耐えられるのか・・そこも未体験ゾーンです。
マネーの対極にある現物資産への資産配分は、
私たち個人がとれる、数少ない自衛のための手段では
ないかと思います。
では今回はこのへんで。
(2016年1月21日)
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