■キング・オブ・ホビー
みなさんこんにちは。
欧米でよく「切手収集は趣味の王様(King of Hobby)」などと
言われますが、あれってどうなのでしょう。
僕自身も少しだけ切手を持っていますので、
コレクターの気持ちはわからないでもありません。
モンゴルやビルマなどアジアの一番切手(注)を
みていると、なんだか妙に懐かしい気持ちになりますし、
中国の文革時代の赤い切手を見ていると、
そのころの中国社会の高揚感が伝わってきます。
注)その国で最初に発行された切手
確かにコレクターの気持ちもわからなくはないのですが、
「切手が趣味の王様なのだ」と言われれば、僕などは
「それはちょっと違うんじゃあないですかね」と
ケチをつけたくなってしまいます。
まず趣味の王様は○○ダ、などという言葉自体もイヤな
感じですし、少なくとも僕自身は「切手よりコインのほうが
王様に近い」と思います。
まず何よりも時代の深さが違います。
切手は古いといってもせいぜいこの200年ほどの歴史
しかありません、世界初の切手であるイギリスのペニーブラック
ですら、その発行は1841年です。
これに対してコインはどうでしょう。
古代ギリシャではすでに金貨や銀貨が盛んに使われていましたし、
世界初のコインに至っては、なんと2600年もまえに造られて
います。
歴史が長いということは、それだけ逸話を持ったコインが
多いということで、例えばカリブ海に300年以上沈んでいたコイン。
1904年のオークションで落札されてから、100年以上行方不明に
なっていた金貨。イギリス海軍がスペインから略奪した金で
つくられた金貨など、コインによって私たちはナマの歴史に
触れることができます。
あるいは重量感という点でも、コインは切手に比べて
随分と迫力があります。
切手の場合は紙でできていますから、掌に乗せたときの
感触はほとんどありません、それ以前に管理上の問題から
掌に載せること自体よくありません。
これに対してコインはどうでしょうか、掌に載せたときの
感触・・・特に金貨の重量感は、こたえられないものがあります。
しかもご先祖様たちが掌に載せたコインそのものを、自分自身も
手に触れるという不思議な感触も味わえます。
そしてなによりもあの輝き・・・金貨はあくまでも美しく、
銀貨はシブく輝き、コイン一枚一枚に刻まれたキズすらも、
なにやら意味ありげです。
ただし逆説的に考えれば、そのように切手は歴史が浅く、
存在感がないことによって、かえって趣味の王様たりえる
のかもしれませんね。
趣味はあくまで趣味であり、それが例えば資産運用として
意味をもっていたり、あるいは歴史的な価値をもっている
という時点で、すでに趣味の対象ではない・・・つまり
無意味だからこそ趣味としては高尚だという考えです。
そこまで踏まえた上で、もし切手収集をKing of Hobbyと
するなら、それは大いにうなずけたりもします・・・
では今回はこのへんで。
(2016年2月18日)
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