我が国の未成熟なコイン市場

みなさんこんにちは。

先日あるイギリスのコイン商の方と話す機会があったのですが、
その方がこのようにおっしゃっていました。

『日本のコイン市場は徐々に拡大してきましたが、どうも
偏りすぎていて困ります。一部のコインに人気が集中し、
相場が高くなりすぎるのです』

たとえば同社主催のコインオークションにも、大勢の日本人が
参加するらしいのですが、彼らが札を挙げるのは5ギニーや5ポンド、
それにビクトリアのゴシッククラウンといった、限られた分野
だけで他のコインには見向きもしないそうです。

それを聞いて僕は悔しい気持ちになりましたが、
反論できませんでした。

ネットで集客する新興コイン商のサイトを見ますと、
例えばアン女王の5ギニー、AU55(極美品クラス)がなんと1200万円
で売られていたりします、値付けは勝手ですが、それがSold Outに
なっているのをみて二度びっくりです。

アンの5ギニーのAU55なら、世界の相場はせいぜい500万円ですから、
この1200万円はありません。

他にジョージ2世の5ギニーが850万円、現代コインでは
2009年のアメリカ20ドル金貨が320万円で売られていたりします。
いくらプルーフライクのファーストストライクでも、
これはありえません。

少しでもコインのことを知っている方なら、このような法外な
価格で買うことはないはずです。

確かに世界のコイン相場は上昇し続けていますが、
アンの5ギニーを1200万円で買ってしまった人は、
少なくともむこう数年、買い値以上で売れることは
ないでしょう。

なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか?

最近コイン投資が注目されつつある中で、なんの知識も
ない方が、衝動的にコインを買っているのではないかと思います。

ですからネットのあおり系業者が推奨する、
ホンの一部の銘柄に人気が集中しているのでしょう。

その結果が冒頭のコイン商のコメントで、おそらくこれは
あのコイン商だけの意見ではなく、世界中のコイン商が、
日本のコイン市場というか、コイン投資家について、
同様の見方をしているのではないかと思います。

そのように考えると、僕などはなんだか恥ずかしい気がします。

買い手さえしっかりとした知識を身につければ、
おのずとタチの悪い業者は消えてゆきますし、
世界のコレクターからも、日本市場が偏見をもって
見られることもなくなるはずです。

イギリスの近代コインだけではなく、世界には素晴らしいコインが
いくらでもありますし、まだまだ割安に放置されたコイン群が
たくさんあります。

そのような領域や、コイン達をみつけることこそが
コイン投資の醍醐味といってよいでしょう。

皆さんも幅広い視野に立って、世界のコイン市場を見渡して
頂ければと思います。

 

では今回はこのへんで。

(2016年5月20日)




 




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