世界は長期停滞期に入るのか

みなさんこんにちは。

皆さんは「長期停滞論」という言葉をお聞きになった
ことがありますか。

「長期停滞論」は、アメリカの元財務長官ローレンス・サマーズさん
などによって唱えられている説で、人類はすで成長のピークを過ぎ、
今後は低成長時代が続くという考えに基づいています。

世界の現状を見渡すと、確かにそれを裏付ける材料は
たくさんあります。

すでに日本をはじめ世界の先進国では、少子化、高齢化が
進行しており消費人口が減りつつあります。

さらに消費の内容もずいぶん変わってしまいました。

例えば、一昔前のように日本の若者はクルマへの執着を持ちません。
エアコンや冷蔵庫、テレビなど大型家電をみても劇的な性能の向上は見られず、
大概のモノは家の中にすでにあります。

一方でスマホやゲームにはお金を使いますが、
これらの新産業は、むかしながらの製造業に比べ、
さほど大きな設備もいりませんし、製造のための大勢の
人手も不要です。

新しい消費が生まれないから企業はモノを作らない。

モノを作らないから研究開発や設備にお金を使わず、
従業員も増やさない。

その結果、カイシャは余ったお金を自社株買いや、
配当に使うことに熱心です。

企業が前向きな投資をしないから経済の成長性は鈍化し、
その結果、数四半期に一度はマイナス成長に陥り、
そして数年に一度深刻な景気後退がやってくる・・・

世界のこの10年を振り返れば、概ねこの
ように総括できるのではないかと思います。

一方でこの間の私たちの生活はどうだったでしょうか、
振り返ってみればこの10年ほどで、私たちの生活は
随分と便利になりました。

インターネットが高速化し、スマホや電子決済システムが
高度化し、そこから派生した新しいサービスも育ちました。

にも関わらず経済的にみれば「長期停滞」
が進行しているという現実を、私たちはどう解釈したら
よいのでしょう。

「長期停滞論」という言葉を最初に使ったのは、
サマーズさんではありません、アメリカですでに1930年代
の後半に、この「長期停滞論」はありました。

1930年版の「長期停滞論」は、その後の世界大戦と戦後の急成長により
杞憂に終わりましたが、今回はどうなのでしょう・・・

AIにロボット、IoT、シェアリングエコノミー・・

世界を見渡せば確かに新産業の芽はたくさんあります。
が、新産業が生まれても過去10年同様に、世界に高成長を
もたらさない可能性があるのではないでしょうか。

たとえばAIとロボットが融合し、完全無人工場が
ドンドンできたとしたらどうでしょう。

安い製品を世界にあふれかえらせることはできても、
その製品を購入したり、消費するのは生身の人間です。

先ほどの自動車や冷蔵庫のように、ヒトは「もうおなか一杯」
なのではないでしょうか。

つまり新技術によって供給側の効率を高めることができても、
需要側がそれを受け入れなければ、世界経済のパイは増えない
ということで、これを突き詰めれば結局、高齢化や少子化に
行き着いてしまいます。

それとも人間は全く新しい領域を生み出し、
少子化、高齢化のなかで再び大量消費の文化を創り出すので
しょうか。

 

では今回はこのへんで。

(2016年6月14日)




 




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