■米国の利上げと日本株
みなさんこんにちは。
株価には慣性があると僕は思います。
新しい材料が出てきても、よほど大きな材料でない限り
相場はすぐには織り込まず、ある程度時間をかけて織り込んで
ゆく場合が多いようです。
当初は半信半疑の参加者が多く、
全員が動ききるまでしばらく時間がかかるからでしょう。
最近の日本株にも、この傾向があるように思います。
ここのところの株価の推移を見ますと、年初時点の日経平均は
19,000円近辺でしたが、現在は17,000円近辺まで下げています。
理由はいくつかあると思いますが、最大の要因は為替相場に
あるといってよいでしょう。
なにしろ今年に入って円高は急に進み、年初時点の1ドル=120円前後から
一時は1ドル=100円割れまで一気に円高が進みました。
この円高進行を受け、企業業績に対する市場の見方も
急速に弱気に傾いたといってよいでしょう。
年初時点では2017年3月期の企業業績は、増益になると
予想されていましたが、直近ではわずかながらも減益に
修正されました
しかも直近の上場会社が前提とするドル円レートを
みれば、概ね1ドル=108円程度に集中しておりますから、
このまま1ドル=100円台前半で推移すれば、さらに減益幅の
拡大が進むことになります。
そのような懸念もあり、日本株はここまで
売られてしまったのでしょう。
ただし現状を冷静に見れば、円高を強く織り込みすぎて
いるように僕は思います。
ここであらためて現在の日本株の指数を見ておきますと
・EPS(一株当たり利益):1200円弱
・PER:14倍強
となります。
先進国における標準的なPERは16倍程度ですので、現状は
PERからみて”売られ過ぎ感”が強いといえるでしょう。
目さき日本株の行方を左右する最大の材料は、円ドル相場
だと思いますが、たとえば年末あたりにかけて、ドル円レート
はどのように動くのでしょうか。
ちょうど日本時間の今晩、8月度の米国雇用統計が発表されます。
もし新規雇用者数が20万人を超えるようなら、
今月末のFOMC(注)で米国の利上げがきまる可能性が高まるでしょう。
注)米国の中央銀行が年8回行う政策決定会合。米国の金融政策は
ここで決まります。
たとえ9月に利上げを行わなくても、12月(注)には実施する
可能性が高そうです。
注)11月初旬にもFOMCはありますが、米国の大統領選挙の直前ですので、
おそらく11月の利上げはないでしょう。
9月度利上げの可能性は現時点では、決して高くないものの、
相場はすでに織り込み始めています。
ドル円相場は、徐々に円安方向にふれだしました。
円安を意識した日本株も、ここのところ上げ気味です。
ただしここでも冒頭申し上げた慣性が働いており、
日本株の相場は、まだ十分に米国の利上げ(すなわち円安)
という好材料を織り込みきっていないように見えます。
現在の日本株の水準は、いまだに1ドル=100円程度の円高を前提に
していると思いますが、今後は上記のようにやや円安に振れる可能性が高く、
その場合日経平均はPER15倍、すなわち18,000円(注)に近づく場面が
あるのではないかと僕は思います。
注)1200円×15倍=18,000円
では今回はこのへんで。
(2016年9月2日)
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