■日銀の失敗とQQEのあとしまつ
みなさんこんにちは。
黒田さんが日銀の総裁に就任してから、
すでに3年と半が経とうとしています。
その間の日銀の政策を一言で表現するならば、
「通貨の大量供給」ということになるでしょう、日銀がこれほど
明確に政策を打ち題した例は、すくなくとも僕が知っている
限りありません。
『円紙幣を大量に刷って市場に供給すればインフレに誘導でき、
その結果経済活動が活発になるはずだ。』
このような信念のもと、日銀は3年半前いわば一か八かの賭けにでた
といえるのかもしれません。失敗したときの後始末を
考えた場合、確かに「一か八か感」は否めないでしょう。
2013年当時、「物価は純粋にマネー的現象であり、
通貨の供給量を増やせば、かならずインフレに誘導できる」
という考えがありました、日銀副総裁の岩田さんや、
安倍首相のブレインだった浜田さんが、当時さかんに唱えた説です。
視点を変えるとこの3年半は、「中央銀行が通貨を大量に発行すれば、
インフレに誘導できるのか否か」という実験だったと
いえなくもありません。
その結果もどうやら見えてきたようですね。
先日黒田総裁は政策決定会合後の記者会見で、
「(インフレ率2%達成は)そう簡単にできない」と認めましたし、
インフレ率2%の達成時期をまた延ばし、「2018年ごろ」に修正
しました。
2018年といえば黒田さんの任期は終わっていますし、
ここまでの経緯を見ても、2018年にインフレ率2%達成できるとは、
誰も思わないでしょう。
つまり、通貨の大量供給によってインフレ誘導するという日銀の実験は、
すでに失敗に終わったといってよいのではないでしょうか。
敗因は、日銀の政策だけでインフレ誘導するのはそもそも無理で、
政府の成長戦略との協調が必要だったということだと思います、
その意味で孤軍の黒田さんは気の毒だったと僕は思います。
ではこれから黒田総裁や日銀は、どのような形でこの実験の、
後始末をしてゆけばいいのでしょうか。
かりに日銀が現在の政策をソフトランディングさせようとすれば、
いったいどうなるでしょう。
この場合
日銀による国債の購入量の減額⇒金利の上昇⇒
政府の国債利払い費の拡大⇒財政の悪化
というルートをたどるでしょう。
従って日銀はよほどうまくソフトランディングさせねばならず、
失敗すれば市場の混乱は避けられません。
今後のあとしまつという意味で、もう一つ気になることが
あります。それは日銀が400兆円以上も買ってしまった国債を、
いったいどのようにして市場に戻すかという点です。
国債には満期がありますから、満期まで持てば国債は自動的に償還されます、
つまり時間さえかければ日銀が保有する国債の残高は徐々に減ってゆく
のですが、それでも今の日銀国債の残高はハンパな量ではありません。
果たして市場に混乱を与えない形で、積みあがった国債を
減らしてゆけるかどうか。
最後の心配事は、この実験に失敗した日本は、
これからどうやって成長力を取り戻せるかです。
おそらく今回の政策は、過去の失敗事例として歴史に刻まれることに
なるでしょう、したがってこれから流動性供給策は、日銀にとって
いわばトラウマとなってしまう可能性があると思います。
そのような状況で・・さらに少子高齢化が進む我が国は、
はたして成長力を取り戻すことができるのでしょうか。
では今回はこのへんで。
(2016年11月4日)
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