積み立て投資の出口は

みなさんこんにちは。

来年の1月から積み立てNISAが始まります。

年あたりの枠は40万円と少額ですが、
それでも20年間にわたり売却益と配当が非課税になる制度です。

なんでも金融庁の森さん肝いりの制度らしいですね、
従来型の投信営業に対し、森長官は問題があると
お考えのようです。

実際のところ積み立てNISAがどの程度利用されるかは、
制度の運用が始まらないとわかりませんが、それでも
これを機会にインデックス・ファンドの長期積み立てに対し、
注目が集まれば大変良いことではないかと僕は思います。

なにしろ今までの証券会社や銀行の営業姿勢は、
ホントにひど過ぎました。

手数料が高いアクティブ型投信の回転売買、
高分配型の投信の大量販売、
流行りものの投信の横並び商品化・・・

家計の金融資産のうち半分以上が現預金にとどまるのも、
やむをえないと思います。

制度の使い勝手はさておき、積み立てNISAの
考え方は正しいと僕は思います。

ただし積み立て投資を過大に評価するのもまた、
問題があるのではないでしょうか。

たしかに積み立て投資には「ドルコスト効果」がありますし、
手間もそれほどかかりません。

注)ドルコスト効果とは、投資対象の値動きにかかわらず、
  定期的に一定額を投資することによって得られる効果です、
  投資対象が安い時は多くの口数が買えますし、逆に高い時に
  買える口数は自動的に減ります。その結果購入単価を下げる
  ことができます。

しかも預貯金と違ってインフレ対策にもなります。

ただし積み立て投資でも、必ずいつか出口を迎えますので、
その点を軽視すべきではありません。

最初の5年や10年の間は、さほどバケツに水が溜まっていなくても、
いずれバケツの中は水でいっぱいになります。

つまり水道の蛇口から入ってくる水の量に対し、
バケツに貯まった水の量が圧倒的に多くなってくるわけです。

その頃になればどうでしょう・・・

きっと皆さんはバケツの中に貯まった投信の価格が
気になるはずです、例えばバケツに貯まった投信の時価が、
一年の間に半分になってしまえばどうでしょう。

そのストレスは大きいはずです。

積み立て投資がお気楽で放ったらかしで済むのは始めの
頃だけで、出口が近づくにつれ「一括投資」と同様、
それなりの手数をかけてあげなくてはなりません。

ではどのようにして積み立て投資の出口作戦を考えれば
よいのでしょうか・・・

実はこれは僕がずっと前から考え続けてきたテーマです。

ドルコストで積み立てるなら、たとえばその逆のドルコストで
取り崩すのはどうでしょう。

具体的には相場にかかわらず、定期的に一定額ずつ
換金してゆくという方法です。

これは年金受給者などリタイア後の方にとって、
よい方法ではないかと思います。

毎月一定額ずつ取り崩すことによって年金を補完する
ことができますし、バケツの中にいくら投信が貯まっていようが、
この方法なら過度に相場を気にする必要もありません。

ただし運用効率という点で、この「逆ドルコスト法」には
問題があります。

なぜなら投信の価格が高くなっているときは少ない口数を
解約し、安い時にたくさん解約してしまうからです。

一言でいえばこれは投信の「安売り」です。

これに対し機械的に毎月一定の”口数”を取り崩す方法も
あります、上記のような解約金額ではなく、解約する口数を
決めておくわけです。

この方法をとれば解約単価は相場の変動と一致し、
その点で「逆ドルコスト法」のように安売りしなくても
すみます。

ただし投資家にとって毎月の解約資金がぶれますので、
生活設計という点で多少問題があるかもしれません、
余裕があるご家庭なら、毎月の解約口数を少し多めに
設定するのも一手でしょう。

あるいは一定の相場観を持っておき、その水準を上回った
場合にむこう一年分といったようにまとめて解約するという考えも
あってよいでしょう、多少の相場観は要求されますが、この
方法なら解約単価を高くできる可能性はあるでしょう。

つまり投信の高値ウリが可能になります。

今回は積み立て投資に関してお話しいたしましたが、
最後に今回の内容を以下にまとめさせていただきます。

・インデックス・ファンドによる積み立て投資は、コストや
 投資効率などの点で有利な手法である

・ただし積み立て投資でも出口を想定しておく必要がある

・積み立て投信の出口戦略の一つとして、定期的な部分解約
 という方法がある

・定期的な取り崩しにも様々な方法があり、一長一短がある

・最終的にはお一人お一人のライフプランや資産規模にあった
 出口戦略が必要になる

 

では今回はこのへんで。

(2017年7月12日)




 




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