北朝鮮リスクと日本株

みなさんこんにちは。

ここのところ日本株が下げ気味ですね、
一時は2万円をうわまわっていた日経225も、
最近は19,000円の前半まで下げました。

一方で企業の業績のほうはどうでしょう。

今期(2018年3月期)の業績予想を見ますと、
全上場企業の平均で対前年比13.6%の増益(注)となっています。

注)第一四半期終了時点の数字です

期初時点での増益予想は10.5%でしたので、
わずか3か月ほどの間に、3%ほど利益水準が
上方修正されたことになります。

増益の内容をみても、よくある為替要因ではない、
受注環境の好転によるものが多く、どうやら一時的なものや、
外部要因によるものではなさそうです。

つまり業績は極めて好調だといってよいでしょう。

にもかかわらず株が売られるという「ねじれ現象」は、
なぜ起きているのでしょうか。

最大の要因は北朝鮮リスクであることは
間違いないでしょう。

北朝鮮問題⇒リスク回避行動⇒円買い⇒円高予想⇒
日本企業の業績悪化懸念⇒日本株安

という連想が、日本株の水準を下に引っ張っている
といえるのではないでしょうか。

もう一つの株価下押し要因は、アメリカの債務問題ではないかと
思います。

アメリカの債務問題はすでに恒例行事化していますが、
また債務の上限問題が意識され始めました、債務上限の引き上げには
議会の承認が必要ですが、トランプさんとの折り合いが悪く、
このままスンナリと上限引き上げが承認されるかどうか、
微妙な雰囲気です。

確かオバマ政権時代の2013年に債務上限が引き上げられず、
一時的に米国の政府機関の一部が閉鎖されるという事態が起きましたが、
あの時も日本株は一時的に大きく下げた記憶があります。

最新の情報では債務引き上げ問題に、
一定の前進があったようですが、いずれまた
この問題は蒸し返させることになるでしょう。

一方で企業業績に着目すると、逆に株価を引き上げる要因を
見ることができます。

一般に日本の会社は、業績予測を保守的に見る傾向にあります、
なぜなら期の途中で業績を下方修正した場合、市場から
厳しい目を向けられるからです、逆に期の途中の上方修正は、
むしろ歓迎される傾向にあり、会社としてはどうしても保守的
にならざるをえません。

さらに上方修正するタイミングも重要で、通常は上半期が終わり、
通期の業績に対してある程度の見通しが立ってから、
発表されるケースが多いものです。

これに対して今期は少し様相が違います。

少し古いデータになりますが、日経新聞8/1朝刊記事に
よりますと、7月末時点で約40社が通期(2018年3月期)の
業績予想を引き上げたとのこと、企業は先行きに対して
よほど強気になっていることがわかります。

このようなことから今後数か月の日本株は、

北朝鮮問題+アメリカの債務問題という下向きの圧力、
これに対し企業業績のさらなる拡大という上向きの力、

の綱引きの中で決まってゆくことになるでしょう。

現時点で、日本株の今期予想EPS(一株当たり利益)は1420円あたりに
あるようですが、仮に上記要因のうち、下向き圧力が解消方向に
向かえばどうでしょう。

一般的に先進国の平均的なPER(注)は16倍前後とされています。

仮に16倍なら適正株価は22,000円の半ばあたり、
低めに見積もって15倍としても21,000円台前半。

注)PER:株価収益率、一株当たり会社がどの程度の利益をあげているか
    を示す値です、一般に16倍程度が妥当な水準といわれています。

米国の債務問題はさておき、北朝鮮問題は一筋縄ではゆきそうにありません。
が、何らかの合意が形成されたり、一時的に危機のレベルが
下がる可能性もゼロではないと思います。

その場合の日経平均のめどとして、上記の数字を
頭の中に入れておいてよいのではないでしょうか。

 

では今回はこのへんで。

(2017年9月6日)




 




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