■10年前のコインオークション
みなさんこんにちは。
今回は久々にコインの話しをさせてください。
今僕の机の上に10年前のコインオークションのカタログ
があります、国内大手コイン商が平成19年に開催したものです。
当時の落札価格を見ますと、今の相場との違いに
驚かされます。
例を挙げますと
1.中国、自動車ダラー、1928年、VF⇒17万円
2.中国、孫文、1932年、三羽鳥、MS64⇒19万円
3.中国、袁世凱、開国記念、1914年、UNC⇒32万円
4.イギリス、ビクトリア、ウナ&ライオン15枚セット、
AU〜UNC⇒720万円
5.イギリス、ビクトリア、オールドヘッド、プルーフ10枚セット、
AU〜UNC⇒120万円
6.イギリス、ジョージ5世、プルーフ12枚セット、UNC⇒66万円
7.英領インド、ウィリアム4世、2モハール金貨1835年、
(リストライク)、UNCプルーフライク⇒72万円
とりあえず目につくのはこんなところです。
相場をご存知の方は驚かれると思いますが、
これがホンの10年前の相場だったのです。
ご参考までに、上記と同等コインの直近落札価格を以下
紹介させていただきます。
1.中国、自動車ダラー、1928年、VF⇒60万円前後
2.中国、孫文、1932年、三羽鳥、MS64⇒80万円前後
3.中国、袁世凱、開国記念、1914年、UNC⇒180万円前後
4.イギリス、ビクトリア、ウナ&ライオン15枚セット、
AU〜UNC⇒4000万円前後
5.イギリス、ビクトリア、オールドヘッド、プルーフ10枚セット、
AU〜UNC⇒600万円前後
6.イギリス、ジョージ5世、プルーフ12枚セット、UNC⇒400万円前後
7.英領インド、ウィリアム4世、2モハール金貨1835年、
(リストライク)、UNCプルーフライク⇒600万円前後
上記のような感じです、高額なコインほど値上がり率が高いと
お考えの方もおいででしょうが、上記ご覧いただくと必ずしも
そうではないことがわかります。
例えば「7.英領インドの2モハール」や「6.ジョージ5世」のように、
100万円以下のコインでも驚くほどの値上がりを
見せたコインもあるのです。
同じ銘柄なら状態が良いコインほど上昇が期待できる・・
おそらくこれは間違いないでしょう。
ただ必ずしも今高価な銘柄が、例えば中堅クラスの銘柄より
強い値上がりを見せるかといえば、それはよくわかりません、
むしろウナ&ライオンのように先行して暴騰した銘柄は、
敬遠される可能性もあるでしょう。
急騰したエリザベス2世の5ポンド金貨が、
昨年後半をピークに急落した事例をみても、
煽り系コイン商のセールストークの危うさを感じない
わけにはゆきません。
一方で上記10年前のカタログと現在の相場を比べますと、
逆にほとんど値動きしていない銘柄があることが
わかります。
例えばアメリカの一部のコインたちです。
平成19年のオークションカタログを見ますと、
当時のアメリカコインの落札価格は以下のようになっています。
9.アメリカ1799年1ドル銀貨、VF⇒26万円
10.同1862年シーティッドリバティ1ドル銀貨、1862年プルーフUNC⇒32万円
11.同1881年、貿易銀、プルーフAU/UNC⇒30万円
面白いことにこれらコインの現在の相場は、当時とほとんど
変わりません。
ですから仮に皆さんが10年前のオークションに参加したとして、
最初の7枚を買うか、あとの3枚を買うかによって、十年後の
成果に驚くほど差がついたわけです。
このように考えますと、コインの銘柄選びがいかに大切か
よくわかります。
基本的には成長性の高い国のコインを選ぶべきでしょうが、
成長性の高い国は新興国の場合が多く、一般的にそのような
国はコインの歴史は浅く、したがってコイン市場も貧弱です。
それでも一部の例外はあります、例えばタイや
アンナン(今のベトナム)です。ほかにもイギリスやドイツ、
フランスなどかつての列強の旧植民地コインも面白いでしょう。
上記事例でアメリカコインの停滞について紹介させていただきましたが、
安値に放置された銘柄はいずれ適正相場に戻るものです。
アメリカコインの歴史は浅く、収集対象としてみた場合
面白みに欠けるのですが、それでも残存枚数が少ない初期1ドル銀貨や、
同じく初期の5ドル、10ドル金貨などはねらい目として面白いと思います。
あと将来性があるのは第二次世界対戦以降に発行された、
金貨のうち鋳造枚数が少ないコインでしょう、1950年あたりでも
鋳造後70年ほど経っており、そろそろクラシックコイン
の仲間入りです。デザインが良いもの、経済的に豊かな国が
発行した金貨は先行投資の価値があるでしょう。
このように既に高騰したコインを追いかけるのではなく、
次世代のスター銘柄を発掘する作業もまた、
コイン収集の一つの楽しみではないでしょうか。
では今回はこのへんで。
(2017年10月18日)
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