アメリカ国債をいつ買うべきか

みなさんこんにちは。

今回は少し地味なお話をさせてください。

ここのところアメリカの金利が上がってきましたので、
そろそろアメリカ国債への投資を、お考えの方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

金利と債券価格はコインのウラオモテの関係にあります、
ですから今のような金利の上昇局面では、国債の価格は
徐々に下がってゆくことになります。

たとえば今すぐに買えば105ドルだけど、
もう少し金利の上昇を待てば98ドルで買えたり
するわけです。

このような金利の上昇局面では、債券を買ったハナから
含み損を抱えることになり、これは決して気持ちのいい
ものではありません。

ではどのようなタイミングで私たちは米国債を
買えばよいのでしょうか。

長らくアメリカは低金利政策をとってきましたし、
FRB(アメリカの中央銀行に相当)は市場で米国債を買い続けて
来ました。

ですから現状は、歴史的な低金利(債券高)状態にある
といってよいでしょう。

このような状況下で、皆さんが例えば10年後に満期が来る
新発の米国債(注)を10,000ドル買えばどうでしょう。

注)新規に発行される国債です、アメリカ国債の額面は100ドル
  ですから、新発国債の発行価格は額面通り100ドルです。

現在の10年債利回りは2.4%ほどですので、
私たちは毎年240ドル(注)の利息をアメリカ政府から
受け取ることができ、これは約束されたものです。

注)10,000ドル×2.4%=240ドル

一方でこの国債の本体価格のほうはどう動くでしょう、
国債は日々市場で売買されていますので、債券の価格も
日々変化いたします。

先ほど申しましたように、現在のアメリカは歴史的な
低金利状態で、言い換えれば債券高です。

仮にですが、今後アメリカ経済の正常化に伴って
金利が上昇すればどうでしょう。

金利高は債券安・・・

したがって皆さんが買った債券10,000ドルは、
買った瞬間から下がり続けることになるわけです。

満期まで持てば額面での償還は約束されていますし、
先ほどのように利子は半年ごと定額で入金されます。

でも買ってからソクの含み損常態は、
精神衛生上けっしてよくありません。

ではこのようなメに合わないで済むための、
債券を買うタイミングはあるのでしょうか?

モノは安く買って高く売ればもうかりますが、
逆ならソンです。

債券も同じで極力安いときに買わなければなりません。

債券価格と金利は表裏ですから、
いまのような金利の上昇局面で買いますと、
かならずソンをしてしまいます。

逆に金利がある程度上昇し、安定局面に到達してから買えば、
すくなくとも購入後ソク含み損といった、
ひどい状態にはなりにくいものです。

ただし相場の読みはそう簡単ではありません。

すでに金利が上がりきったとみて債券を買ったとしても、
そこからさらに金利が急騰するなんてことはよくあります。

ですから債券を極力安いときに買うといっても、
そう簡単にはゆかないのです。

一か八か自分の予想にかけてみるものいいですが、
投資の王道は時間軸の分散で、一般には購入時期を分散して
少しずつ買ってゆくという方法が有効ではないかと思います。

上記の例では10,000ドルを一気に買うのではなく、
例えば2,000ドルずつ5回に分けて買うという方法です。

あと金利をトリガーにして、買う時期を分散するのも
いいでしょう。

例えば現状を金利の上昇局面と読み、少なくとも米国の長期金利
(10年債利回り)が2.5%を超えない限り買わない。その後は
2.7%、2.9%、3.1%、3.3%といった、ご自分で設定した
トリガーを超えるごと、2,000ドルずつ機械的に買ってゆく方法です。

トリガーになる金利水準の決定には、皆さんのライフプランから、
必要とされる利子収入を逆算するアプローチが有効でしょう。

どういうことかといいますと、例えば皆さんが10,000ドルを
もっておられた場合、10,000ドルで平均利回り2.5%の国債を買えば、
年あたり税引後で200ドル(約22,000円)の利息がもらえます。

注)10,000ドル×2.5%×80%=200ドル

仮に皆さんが年あたり200ドルの収入上積みで、
問題なく生活できるとすれば、購入する債券の、
金利の平均値は2.5%で十分だということになるわけです。

あとは平均利回りが2.5%になるよう、金利のトリガーを
設定して買ってゆけばOKです。

この場合でも金利に対する長期の見通しは求められますが、
少なくとも短期の値動きに、
右往左往することからは解放されるでしょう。

米国の長期金利(10年債利回り)はここのところ急上昇中ですが、
購入予定のある方は、このような方法をお試しになると
いいかもしれません。

 

では今回はこのへんで。

(2017年10月26日)




 




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