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財政破綻に過剰反応しないために

数年の間にも日本が財政破綻するような、危機感を持つ人は決して少なくはありません。最近ちょっと驚いたのが、ある大学教授が第二海援隊という、例の浅井隆さん主催のセミナーで行った講演会の内容です。その方曰く「我が国が2030年までに破たんする確率は95%から97%」だそうです。財政破綻あおり系の浅井さんに担がれた部分はありますが、どうやらその教授は本気でこう考えているようです。数年前ならこのように我が国の財政破たんを説く人は、ちょっと怪しい人ばかりだったのですが・・・最近は大学教授や場合によっては財務省の官僚までもが、このような話をするようになってきました。

この教授に限らず、我が国が高い確率で財政破綻すると考える人は徐々に増えてきているような気がしますが、そのような人は大概海外に資産を移したり、大半のおカネを金(Gold)に投じたりします。私はそのような極端な志向の方をみて、いつも考えてしまいます。

もし懸念の様な事態に陥らなかった場合、その方たちはいったいどうするんだろう・・・

たとえば大半のおカネを海外に移してしまうと、どのような不都合が起きるでしょう。私たち日本人にとって海外での運用はなかなか困難なところがあります。

まずは費用の問題です。

プラーベトバンクにしろ、プライベート・ポートフォリオ・ボンドにしろ、海外の金融機関の運用コストはそれなりにかかります。さらに海外での運用経験をお持ちの方ならお分かりかもしれませんが、コミュニケーションの取り方一つをとっても、日本人は言語の問題があり大変不利です。よほど運用アドバイザーとの相性がよくなければ、安心して運用を任せることはできません。

情報の得にくさという問題もあります、
国内の金融商品ならそれなりに情報収集の方法はありますが、海外の金融商品はどうでしょう。英語がお得意な方なら問題ないとお考えかもしれませんが、金融の世界の英語は特殊です、僕たち専門家ですら英語で書かれた資料が難解な場合もあり、単に語学的な問題というより、金融のリレラシーを含んだ総合的な理解力が求められるといってよいでしょう。

最後には出口戦略も重要で、われわれ日本人は海外に移住でもしない限り、いつか資産を国内に戻さなくてはなりません、仮にお子さんに相続されるとしても同様です。現に私の事務所には過去に海外に出した資産の処理に困り、コンサルをご希望になる方が時々いらっしゃいます。

そのような方を見るにつけ、リスクの生起確率に見合った資産構成の重要性を再認識しないわけにはゆきません。破たん確率95%などという極端な予想に踊らされ、自らの資産を全額海外に移したり、金に投じたりといった丁半バクチを打つべきではありません。

僕自身は向こう10年の間に我が国が財政破綻する可能性は5〜10%程度とみていますが、人によって破たん確率の見立ては差があってもいいと思います、大切なのは冷静な目で危機の実態を見ることと、想定される破たん確率にみあった対策をとるということではないでしょうか。

では仮に僕の様に破たん確率5〜10%という見立てに基づいた資産運用政策を建てるとすれば、いったいどのようなポートフォリオが有効なのでしょう。僕自身が実践しているのは平時をメインシナリオに据えた資産構成の維持です。簡単に言えば万一のことが起きなければそれはそれでOK。我が国財政が不幸にも破たんした場合でも、資産全体でみれば大きな打撃を受けなくて済むようにしておくという考え方です。

例えば不動産を一定額組み入れておけばどうでしょう。平時には家賃を生んでくれますし、我が国財政に万一のことが起き一時的に相場が崩れても、やがて不動産の価値は復元いたします、過去そうであったように。問題は危機を乗り越え、危機終息後の自分自身にどうやって資産を渡してあげるかということではないでしょうか。そのような観点でも不動産は必要な要件を備えているといってよいでしょう。

僕がコインやカラーストーンを持つのも、一つには同様の効果を得るためです。

不動産と違ってこれらの資産は平時のインカムゲインを生みませんが、携帯が容易ですし、持っているだけで希少化してゆくという、ペーパーアセットにはない特性もあります。さらに不動産と違って、コインや石は世界中どこへもっていっても等価です、少し大げさに言えば世界的な普遍性を持った資産といえるでしょう。我が国財政が破たんしても全く価値に変化はありませんし、危機のさなかですら海外に持ち出せば米ドルやスイスフランなどと交換が容易です。もちろん危機が訪れなければそれはそれで結構なことで、希少性は年月の経過とともに高まります。

危機の生起確率に対する見方は人それぞれ違って当然ですが、少なくとも

1. あおり系の人たちに影響され、その生起確率を過剰に見積もらないこと
2. 危機対応のポートフォリオが、私たちの普段の生活やライフプランを極端に歪めないこと

以上2点が重要ではないかと僕は思います。




 




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