■どっちに動く、日本株
みなさんこんにちは。
アメリカ発の株価急落が続いています、
先週このメルマガでお話ししたように、
この急落は「小さな規模で起きた株式バブルの破裂」
だったと僕は思っています。
ただしバブルが世界のどこで起きたかという点に関しては、
注意してみておく必要があると思います。
これも先週書かせていただきましたが、
昨年夏あたりからアメリカ株でバブル的兆候が見られましたが、
その他の地域や国はどうでしょうか。
例えば日本です。
バブルか否かを測る指標として、僕は「株価が向こう何年分の
利益を先取りしているかを示す値」、つまりPERが最もシンプルで、
かつ信頼性が高い指標だと思います。
例えば今回のバブルが破裂する前の日本株PERを見れば、
今期予想ベースで15倍台なかばに過ぎませんでした。
一般に15倍程度であれば正常な範囲であり、
この点から日本株がバブル状態にあったとは思えません。
これに対して例えばニューヨークダウのPER(注)は
同時期で20倍を超えていましたので、やはりバブル状態に
あったといえるでしょう。
注)条件をそろえるため、こちらも来期予想ベースです。
さて問題はここからです。
先週の世界的な株価下落によって、ニューヨークダウの
PERは17倍台まで下げてきていますが、日本株のほうは
どうでしょう。
アメリカ株と一緒に下げた結果、日経225ベースの
予想PERは13倍程度まで下げてしまいました。
さらにここからダウがPER16倍まで下げると仮定すれば、
同指数はさらに10%ほど下げる必要があります。
もし日経平均がこの10%の下げに連れ安するようなことがあれば、
いったいどうなるのでしょうか。
この場合PERも10%下がりますので、その時点のPERは
11.7倍となってしまいます。
13倍×0.9≒11.7倍
先述のように日本株の妥当PERは15倍程度とみられていますので、
これはもうどう考えてもおかしいということになるでしょう。
では今後の日本株はどう動くのでしょうか。
一つ目の可能性は、株価のほうがPER15倍を目指して戻るという
考えです。
現在のEPS(注1)は1620円近辺ですので、
その場合の落ち着きどころは24,300円(注2)です。
注1)一株当たりの利益
注2)1620円×15倍=24,300円
もう一つの可能性は
株価の下落→消費者心理の悪化→消費の縮小→企業業績の悪化
→雇用の悪化→消費の縮小→企業業績の悪化・・・
という具合に実体経済がスパイラル的に縮小し、
株価が下げながらも、PERが15倍程度という適正値に戻る
という考えです。
読者の皆さんは景気が後退して、なぜPERが上昇するのか
疑問をお持ちかもしれませんので、そこのところを少し
説明させていただきます。
まず企業業績が悪くなりますと会社の利益が減りますが、
これはEPS(一株当たり利益)が下がるということです。
仮に現在のEPSが1620円だとしたら、企業の利益が20%減れば、
EPSも1296円まで下がることになるわけです。
1620円×(1-20%)=1296円
この場合日経225が20,000円まで下げたとしても、
PERは逆に15.3倍ほどに上がる計算です。
20,000円÷1296円≒15.3倍
つまり上記のように実体経済が悪化してしまえば、
例えば日経平均が20,000円まで下げたとしても、
PERは15台に戻ってしまうという現象が起き、
この場合PERからみた株価水準にまったく違和感はありません。
さて今の日本株の下落は、
単にアメリカ株に引きずられて下げているだけなのでしょうか、
それとも日本経済の後退を先取りしたものなのでしょうか。
もし前者だとすれば日経平均は24,300円を目指し、
逆に後者だとすれば、上記のように20,000円を切っても
不思議ではありません。
先週のメルマガでも申し上げましたが、
僕は前者だと思います。
では今回はこのへんで。
(2018年1月15日)
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