■質の異なる資産を持つ意義
みなさんこんにちは。
僕の事務所にお越しになる方の資産内容を拝見しますと、
大概の方は大きな偏りが見られます。
金融庁の圧力がありますので、さすがに最近は
「高配当の新興国債券投信」や「毎月分配型の米国リート」など
目にすることは少なくなりましたが、それでも日本株の
コレクターや海外のヘッジファンドが大好きな方は、
いまでもよく見かけます。
昨年なかば以降相場が急騰しましたので、
株がお好きな方にとってはたまらない数か月だったと
思いますが、今月に入って暗転です。
目いっぱい株をもっていた人の中には、
その損失の大きさに耐えられず、安値で売ってしまった
方もおいでではなかったでしょうか。
このような場面に遭遇しますと、やはり分散投資の
重要性を再認識しないわけにはゆきません。
仮にある方が、資産のうち半分を株でもっていたとしたら
どうでしょう。
その株が12%下がれば資産全体でみると6%の損失です。
注)50%×12%=6%
今回は12%程度の下げでとどまりましたが、
例えば先のショックのように50%も下げればどうでしょう、
この場合は資産の25%を失うことになってしまいます。
注)50%×50%=25%
資産の25%といえば結構な損害で、
なかには損失に耐えられず、株から足を洗ってしまった
人もいました。
では仮にその方が資産の20%に株の構成比を留めておけば
どうだったしょう、株が50%下がったとしても、損失は
10%で止まったことになります。
注)20%×50%=10%
10%程度の損害なら、そのまま耐えて持ち続けることも
できたはずです。
経済が成長する限り理論的には株も成長を続けます、
大きく下落したとしてもそれは一時のこと、
いずれ株価が復元することを歴史が証明しています。
問題は安値で手放してしまうことだとわかっていても、
なかなか真っ黒い恐怖心には勝てません。
自らの恐怖心を制御するのが無理ならば、
(その恐怖心を制御できる範囲に)株の持ち高のほうを
抑制するのが得策で、そのためには質の違った資産への分散が
必要という結論になります。
ただしいくら分散しても、想定外の危機がやってきたときに、
みな一緒に売られてしまえば意味がありません。
例えば先のショック時に、株と一緒にコモディティ、新興国の債券、
ヘッジファンドなども一緒くたに売られてしまいました。
これでは分散に似て本当の分散ではありません。
一方で、これらペーパーアセットとはまったく異質な資産、
例えば金やコイン、宝石など現物系の資産は
ほとんど影響を受けませんでした。
さらに今後の日本や世界の経済を見渡しますと、
現物資産への分散はさらに重要になってくると僕は思います。
たとえば先日政府は日銀の黒田総裁の続投と、新しい副総裁の
人事案を固めましたが、ここまで拡大した日銀マネーを、
どうやって回収してゆくのでしょうか、金利の急騰を
抑えながら・・・
杞憂に終わればよいのですが、
それでも一定の準備をしないわけにはゆきません。
では今回はこのへんで。
(2018年2月19日)
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