質の異なる資産を持つ意義

みなさんこんにちは。

僕の事務所にお越しになる方の資産内容を拝見しますと、
大概の方は大きな偏りが見られます。

金融庁の圧力がありますので、さすがに最近は
「高配当の新興国債券投信」や「毎月分配型の米国リート」など
目にすることは少なくなりましたが、それでも日本株の
コレクターや海外のヘッジファンドが大好きな方は、
いまでもよく見かけます。

昨年なかば以降相場が急騰しましたので、
株がお好きな方にとってはたまらない数か月だったと
思いますが、今月に入って暗転です。

目いっぱい株をもっていた人の中には、
その損失の大きさに耐えられず、安値で売ってしまった
方もおいでではなかったでしょうか。

このような場面に遭遇しますと、やはり分散投資の
重要性を再認識しないわけにはゆきません。

仮にある方が、資産のうち半分を株でもっていたとしたら
どうでしょう。

その株が12%下がれば資産全体でみると6%の損失です。

注)50%×12%=6%

今回は12%程度の下げでとどまりましたが、
例えば先のショックのように50%も下げればどうでしょう、
この場合は資産の25%を失うことになってしまいます。

注)50%×50%=25%

資産の25%といえば結構な損害で、
なかには損失に耐えられず、株から足を洗ってしまった
人もいました。

では仮にその方が資産の20%に株の構成比を留めておけば
どうだったしょう、株が50%下がったとしても、損失は
10%で止まったことになります。

注)20%×50%=10%

10%程度の損害なら、そのまま耐えて持ち続けることも
できたはずです。

経済が成長する限り理論的には株も成長を続けます、
大きく下落したとしてもそれは一時のこと、
いずれ株価が復元することを歴史が証明しています。

問題は安値で手放してしまうことだとわかっていても、
なかなか真っ黒い恐怖心には勝てません。

自らの恐怖心を制御するのが無理ならば、
(その恐怖心を制御できる範囲に)株の持ち高のほうを
抑制するのが得策で、そのためには質の違った資産への分散が
必要という結論になります。

ただしいくら分散しても、想定外の危機がやってきたときに、
みな一緒に売られてしまえば意味がありません。

例えば先のショック時に、株と一緒にコモディティ、新興国の債券、
ヘッジファンドなども一緒くたに売られてしまいました。

これでは分散に似て本当の分散ではありません。

一方で、これらペーパーアセットとはまったく異質な資産、
例えば金やコイン、宝石など現物系の資産は
ほとんど影響を受けませんでした。

さらに今後の日本や世界の経済を見渡しますと、
現物資産への分散はさらに重要になってくると僕は思います。

たとえば先日政府は日銀の黒田総裁の続投と、新しい副総裁の
人事案を固めましたが、ここまで拡大した日銀マネーを、
どうやって回収してゆくのでしょうか、金利の急騰を
抑えながら・・・

杞憂に終わればよいのですが、
それでも一定の準備をしないわけにはゆきません。

 

では今回はこのへんで。

(2018年2月19日)




 




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