資産運用に迷ったら

みなさんこんにちは。

例えば皆さんが銀行の窓口に出向き、
行員から外貨建て終身保険の勧誘を受けたとしましょう。

行員は皆さんにその保険を勧めるため、
その商品がいかに有利で儲かるかを力説するに違いありません、
そして最後のほうでほんの少しだけ、手数料や中途解約時に
発生する費用について説明することでしょう。

説明の中で他の金融商品との比較をするかもしれません。

例えば日本国債で運用した場合の収益率の低さ、
外貨建て債券で運用する投信や株で運用した場合のリスクの高さ、
不動産で運用した場合の流動性の低さ・・・

このような比較の中で、
その行員が売りたい外貨建て保険に巧みに誘導するのです。

では皆さんが仮に証券会社の窓口に出向けばどうでしょう。

窓口に登場した外務員は、
例えば皆さんに債券型投信を勧めるかもしれません。

その場合外務員は、

外貨建て終身保険に比べたコストの低さ、
簡単にしかもタダで解約できるといった投信の長所、
過去の安定した収益率をグラフで示した資料など、

さまざまな資料を駆使して皆さんにその投資信託を
買ってもらおうとするはずです。

あれこれ迷った皆さんは今度不動産屋さんのセミナーに
出かけたとしましょう。

説明の定番は、

不動産が長期にわたって収益をもたらす点、
為替の変動リスクがない点、
相続税の節税に有利だという点、
インフレ時には家賃収入が増えインフレ対策になる点

などで、そのような観点から投信や外貨建て保険が、
いかにリスクが高く安定収入を得にくい商品かといった、
比較があるかもしれません。

銀行、証券会社、不動産屋さん・・・

おそらく誰も間違ったことは言っていないはずですが、
話を聞けば聞くほどいったいどの金融商品を買うべきか、
皆さんはわからなくなってくるはずです。

そんなときどのような観点で金融商品を選べばよいのでしょうか。

手前味噌ではありますが、そのような場合僕たちのような
アドバイザーに相談してもらえればいいのですが、
そうでなくてもある程度ご自分で判断するための原則のような
ものはあります。

まず、金融商品は極力「源流」に近いモノを買うという
原則です。

金融の世界では源流に近いほどコストが少なく、
その分買い手側のリターンは高くなります。

その代わり源流に位置する商品は、買い手が食べやすいような加工
はされていませんので、買い手から見れば一定の手間はかかります。

逆に言えば手間さえ惜しまなければ、
源流に近い金融商品のほうが、よほど高いリターンを
えることができるわけです。

例えば先ほどの外貨建て保険は最終的には外債(外国債券)で
運用されますので、源流は外債ということになります。

もう一つの基準は、どんな金融商品にも固有のリスクが
あるということを知り、そこから考えをスタートするということです。

どういうことかといいますと、
例えば債券には発行体が破綻するリスクがあり、
発行する国や会社が破産すれば紙切れか、
紙切れに近い状態になってしまいます。

株も同様で発行する会社が破産すれば紙切れです。

投信経由で多くの債券や株に分散している場合であっても
注意は必要です、一つの会社や国が破綻する場合、
連鎖的な破綻を招く場合が多く、投信経由で銘柄分散を
していても万全ではありません。

現物資産である不動産の場合に破綻はありませんが、
地震や津波がこれに相当するリスクといえるでしょう。

現物資産の中で言いますと、例えばコインやジュエリー、
貴金属などは比較的リスクの小さな金融商品ですが、
それでも紛失や火災、盗難などには注意が必要です。

このようにあらゆる金融商品は固有のリスクを持っていますので、
そればかりにはまり込んでいては投資はできません。

なかには思考停止に陥って、「お金は全額現預金のまま」
とお考えの方もおいででしょうが、それはどうでしょう。

預貯金も広い意味では金融商品の一種で、
価値を保証する国が破綻してしまえば紙くずです。

つまり預貯金を含むあらゆる金融商品は固有のリスクを持っており、
それを避けることはできません、そこから思考をスタートすれば
固有のリスクの分散、すなわち資産の分散が運用の原則だという
結論に行きつきます。

特に大きな資産をお持ちの方にとってこの考えは重要です、
金融商品の選択についてお迷いになったら、
先ほどの「源流」のお話しとあわせて思い出してみてください。

 

では今回はこのへんで。

(2018年5月15日)




 




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