■人はお金が増えるほどお金を欲しがるのか
みなさんこんにちは。
人はお金があるほどお金を欲しがるのでしょうか、
逆にお金がない人のほうがお金を欲しがるのでしょうか、
それともお金の量と人の欲は無関係なのでしょうか。
「そんなことを考えて何か意味があるの?」
と言われそうですが、実はこれは重要な問題です。
例えば先の金融ショック以降、日米欧の中央銀行は
大量のお金を印刷し、その印刷したドルや円で、
国債や株式(注)などを買ってきました。
注)株を買ったのは日銀だけで、
ETFを経由して株を買いました。
例えばアメリカのFRBは大量のアメリカ国債を買った結果、
国債の価格は急騰しましたので、同国債を保有していた
機関投資家や個人は大きな含み益を得ることができた
はずです。
日本の場合も同様で、例えば日銀がETF経由で大量の日本株を
買った結果日本株が上昇し、日本株の保有者は大きな
含み益や実現益を手にしたことでしょう。
注)日本株の上昇は日銀によるETF買いだけが理由ではないですが、
少なくも一定の貢献はしたはずです。
つまり2008年以降行われた量的緩和の結果、
銀行、証券会社、ファンド、企業、個人など市場参加者は、
概して手持ちのお金を増やしたといってよいでしょう。
そもそも量的緩和自体が、先のショックからの回復を
目的としたものですから、この現象は中央銀行が意図した
通りのものでした。
ただし問題はここからです、
例えば銀行にしても証券会社にしても、そのお金を
動かすのは生身の人(ヒト)です。
そしてもし人の欲望が、
お金の量に比例して膨張するとしたらどうでしょう。
上記のように先のショック以降、市場に供給されたマネーは急増し、
例えば日米欧の中央銀行による通貨供給量は4倍にも膨れ上がり
ました。
注)通貨供給量は銀行による準備預金と市中に出回る現預金の合計です、
日米欧の中銀による通貨供給量は2008年時点で3兆ドル弱でしたが、
直近では12超ドル弱まで膨張しています。
仮に人の欲望がお金の量に比例して膨張するものだとすれば、
この間市場を動かす欲望の総量もまた、数倍に膨張した
ことになるでしょう。
このようなことから冒頭の疑問、
すなわち「人はお金があるほどお金を欲しがるのか否か」
という問いは、私たちの日常生活にとっても大変重要なわけです。
では改めて・・・
「人はお金があるほどお金を欲しがる」のでしょうか。
残念ながら僕はYesだと思います。
何よりまず自分自身の心を覗いてみてその通りだと思いますし、
この職業を通じ触れてきた世界をみても同様で、私たちは
まだまだ「足るを知る」ほどには成熟していないようにみえます。
であれば先のショック以降膨張してきたマネーをエネルギーにして、
すでに私たちの知らないところで、バブルは大きく育ちつつ
あるのかもしれません。
だとすれば怖い話です。
では今回はこのへんで。
(2018年6月5日)
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