中国経済の実態と米中貿易戦争

みなさんこんにちは。

例えばある上場会社Aの今年の売り上げが100憶円だったとしましょう。

このA社が業績を良く見せるため、
データをごまかして売り上げ120憶円と発表したとします。

この段階ではさして不都合は起こりませんが、
次の年はどうなるでしょう。

仮に次の年のA社は業績がよく、
110憶円の売り上げをあげたとしましょう。

でも上記のようにA社は昨年の売り上げ実績を120憶円と
発表していますので、そのまま110憶円と発表すれば減収となって
しまいます、その場合おそらくA社株は売られてしまうでしょう。

そこでA社の経営者は考えます。

今年もまた売り上げを水増しして発表しよう・・・

そう考えた結果A社の次の年の売り上げは、
昨年発表した120憶円に対し20%増しし、
144憶円となるわけです。

つまりリアルな数字110憶円に対して144憶円の売り上げです。

このようにして過去に行ったたった一回の水増しによって、
A社は次年度以降もゴマカシ決算を続けることになります。

そしていつしか累積された水増し金額は、
もうゴマカシきれないほど大きくなり、
ついに白状ざるを得なくなるというわけです。

日本の上場会社では通常このようなことは起きませんが、
どうやらお隣の中国では、国家ぐるみでこのようなゴマカシが
頻繁に行われているようです。

昨日(7月19日)の日経新聞の朝刊記事に、
「中国が毎月発表する鉱工業企業の利益について、国家統計局が
過去の水増しを修正したと認めた。」とありました。

中国の当局が認めたということは余程のことで、
きっと延々と続けた水増しが累積し、
ゴマカシの限界に達していたに違いありません。

前年の数字を水増ししますと、それを基準にした当年の
対前年同期比は逆に小さくなってしまいます、
それをごまかすために当年の数字をさらに水増しする、
そしてさらに翌年も・・

同国の統計データを見渡すと、ほかにもあちこち同様の
「ゴマカシの蓄積」が見えます。

例えば地方政府が公表するGDP統計です、
すでに天津市は今年1月にGDP水増しを公表してしますし、
上海市や重慶市、浙江省、広東省など19地区でも水増しの
疑いがあります。

国家レベルでもさきほどの企業利益だけでなく、
小売売上高や工業生産など他の分野でも水増しを疑わせる
データが以前からありました。

最終的には統計データの本丸ともいうべき、
中国のGDP成長率自体が水増しではないかと強く疑われています。

同国は先日4-6月期のGDP成長率を6.7%と発表しましたが、
これなども怪しいものです、前期1-3月期の6.8%から減速していますが、
実体は相当悪化しているのではないかと疑わざるをえません。

では仮に中国経済の実態が、たとえば5%前半程度の
成長にとどまっているとしたらどうでしょう。

まず冷静に見ておきたいのは、すでにそのような水増しを前提に、
今の世界経済が成り立っているという点です。

そのような観点で見れば、別に中国経済の成長率が6.7%ではなく
5.2%であったとしても、それそのものが世界経済に負の影響を
与えることはないはずです。

ですからこれは、中国固有の問題にとどまるとみてよい
のではないでしょうか。

それでもあえて世界への影響を考えるとすれば、
その最大のものは外交ではないでしょうか。

中国が2000年以降続けてきた、わが国やアジアの近隣国に対する強硬な
姿勢を見ておりますと、やはり経済成長に対する強い
自信がより所になっているとみて間違いないと思います。

逆に言えばその自信の裏付けたる経済成長が止まれば、
おのずと近隣諸国に対する姿勢も融和的なものに
ならざるをえないはずです。

ですからこの問題は、私たちにとって悪いことばかりでは
ないと思います。

もう一つ指摘しておきたいのは、いま進行しつつある
米中間の貿易摩擦問題への影響です。

仮にむこう数四半期にわたり、中国で低成長傾向が
続くようなことがあればどうでしょう。

貿易摩擦による経済への悪影響は、
いまの政権にとって致命傷になりかねません。

その点に配慮するなら、アメリカに対する姿勢もまた、
妥協を含んだものにならざるをえないのではないでしょうか。

この点も世界にとって決して悪いことだとは思えません。

 

では今回はこのへんで。

(2018年7月18日)




 




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