■積み立て投資の問題点
みなさんこんにちは。
積み立て投資はいいですね。
毎月自動で一定額を投資できますので、
相場の上げ下げに一喜一憂する必要はありません。
「ドルコスト平均」といって、相場が下がればそれだけ多く
の株(もしくは口=クチ)が買えますので、平均購入単価を
下げることもできます。
なにより相場を読まなくて済むのがいいですね、
相場が上がれば持っている資産が増えて気分がいいですし、
相場が下がっても上記のように「安く買える」と自分を
納得させることができます。
特に積立期間を十分とれるお若い方にとっては、
大変使い勝手の良い投資方法ではないかと思います。
一方で積み立て投資にはいくつかの問題点があります。
まず多額の資産をお持ちの方や、高年齢層にとっての
使い勝手の問題です。
仮に皆さんが既にリタイアされていて、
1憶円の余資の運用についてお考えだったとしましょう。
この1憶円を毎月10万円ずつ積み立てたとすれば、
1憶円すべてを投入するまでに80年以上かかる計算になりますし、
積立額を50万円に増やしても16年もかかってしまいます。
このような方にとっては、
積み立て投資は現実的な選択肢ではなく、
ポートフォリオ全体のリスクレベルを下げる、
別の方法を考えなければなりません。
二つ目は「ヒヨコ理論」です。
注)僕が勝手に作りました
皆さんがヒヨコの養殖をする場面をイメージして
ください。
毎日10羽ずつヒヨコを買ってきて、鳥小屋に入れ
るとしましょうか、ヒヨコには相場があって毎日値段が
変動するとします。
ヒヨコ相場が安い日は仕入れ価格が下がるので、
相場の下落はむしろ朗報です。
いっぽうで最初のうちは小屋に入っているヒヨコはほんのわずかで
すから、皆さんはヒヨコの相場の下落を、どちらかといえば
プラスに感じるのではないでしょうか。
でもその後はどうでしょうか。
毎日買ってくるヒヨコは10羽ですが、いずれ小屋の中のヒヨコは
どんどん増えてゆき、そのうちヒヨコだらけになってしまいます。
その時点でも皆さんはヒヨコ相場の下落に無頓着でいられる
でしょうか。
小屋ばかりではなく、いずれ皆さんの頭のなかも
ヒヨコでいっぱいになってしまうに違いありません。
その時になってニワトリの相場の勉強を始めても、
相場観など一朝一夕で身につくものではありません。
つまり積み立て投資がお気楽で手間なしなのは
積み立ての初期のうちで、皮肉にも積み立てが成功し資産の残高が
増えるにしたがって、相場や運用に関する悩みが出てくるという
ことです。
ただしこのヒヨコの事例はお話しを簡単にするためのもので、
株や投信の積み立てとは少し違ったところもあります。
例えば満杯になったニワトリはそのままにしていると
いずれ死んでしまいますが、株や投信は(一部の例外を除き)
その危険性は高くはありません。
ですからあらかじめ決めた積立期間が満了すれば、
そのまま持ち続けてもいいわけです。
ただしその間に受ける精神的ストレスや価格の変動は、
一時投資の場合と同様です。
相場が気になる方は「定額解約サービス」を利用し、
老後の年金代わりに毎月定めた金額を解約しても
いいと思いますが、この「定額解約サービス」にも
欠点があり注意が必要です。
このサービスは毎月決まった金額を自動解約するものですから、
保有する投信の時価が下げたときに多くの口数を解約する
ことになりますし、逆に相場が上がったときに解約する口数は
少なくなります。
つまり相場が高いときに少なく解約し、
逆に安いときにたくさん解約してしまうことになるわけです、
これは積み立て時の「ドルコスト平均効果」の裏返しで、
平均解約単価を下げる方向に働いてしまいます。
それを避ける方法として、金額ではなく株数(や口数)を決めて
解約するという手法がありますが、その場合解約する金額は
相場動向によって毎月変動しますから、これもストレスに
なるでしょう。
投資に対する考えは十人十色です。
年齢も違いますし、保有資産の規模も違います、
株価変動に対する気持ちの上での許容度も違いますし、
ライフプランもそれぞれです。
たしかに積み立て投資には優れた面がありますが、
すべての人が等しくその効果を享受できるわけではありません。
昨今は金融庁の旗振りもあって積み立て投資万能のように
いわれていますが、上記のようにもう少し深いところまで
考える必要があるように僕は思います。
では今回はこのへんで。
(2018年7月25日)
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