日本人に求められる資産運用のスタイル

みなさんこんにちは。

長らく私たち日本人は、資産運用などという面倒な作業を
必要としなかったのではないでしょうか。

高度経済成長の果実である終身雇用や、
手厚い社会保険制度の恩恵を受け続けた結果、
私たちは日本という村社会の一員であるだけで、
一生安泰に暮らせたわけです。

多くの人は、あいかわらず資産の大半を現金や預金に
寝かせたままにしていますが、それはある意味で正しい選択
ではなかったでしょうか。

その一方でほんの一握りのギャンブル好きな人は、
ギャンブルの対象としてハイリスク・ハイリターンな
金融商品にのめり込むという、両極端な構図が出来上がって
しまったといえるでしょう。

つまりリスクとリターンのバランスをとって、
資産を分散保有するという意識が希薄だったのでは
ないかと思います。

これに対し資産運用の先進地帯である欧米は違います。

特にヨーロッパは一部を除き地続きで、
古代から隣国による侵略や隣国への侵略を繰り返してきました。

なんでも古代ローマ時代から既にコイン収集家がいたそうですが、
コイン収集は単なる趣味の対象であるにとどまらず、
資産の維持や防衛といった意味もあったといえるでしょう。

例えば当時も金貨は大変高価な資産でした。

隣国や異民族に攻められたとき、
土地や建物は持ち出すことはできませんが、
金貨なら身に着けて避難をすることができたはずです。

さらに時代が下るとどうでしょう。

近代的な銀行システム確立以降の欧米の事例を見てみると、
例えば1800年以降のアメリカ、フランス、イギリスの3国だけで
合計40回(注)と、驚くほどの頻度で金融危機が
起きており、国民はその都度、現預金のすべてもしくは
一部を失ってきました。

注)「国家は破綻する」カーメン・ラインハート&ケネス・ロゴフ著 より

このような経験から欧米人は、現預金や紙幣などペーパーアセットに
対する無条件の信頼感に乏しく、特に富裕層はコインや貴金属、宝飾品類などを、
資産の一部として組み込んできたのではないかと思います。

株式への投資も同様です、現預金や現物資産などとの
バランスを取りながら、積極的に株を資産に組み込んで
来たといえるでしょう。

つまり欧米人の資産運用に対する理解の深さは、
長い年月の中で培われてきたもので、そこが私たちとの
違いだと思います。

さて私たちの日本も高度成長期はとうに終わり、
終身雇用や年金制度も怪しくなってきました、
ですから今までのように資産運用に対して無関心でいる
ことは許されません。

またその結果としての現金至上主義で、
生きてゆけないのも明らかです。

お一人お一人が

・株や債券などペーパーアセット
・現預金
・不動産や貴金属、コインなど現物資産

このような資産クラスごと、自分たちが持っているお金を
どう配分するのか、それぞれのライフプランや収支のバランスなど、
勘案しながら考えてゆく必要があると僕は思います。

 

では今回はこのへんで。

(2018年10月10日)




 




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