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狭まる包囲網と中国経済の行方

みなさんこんにちは。

ここのところ中国経済の成長性に陰りが
見え始めました。

振り返りますと、中国の全盛期はリーマン・ショックから
昨年あたりまでではなかったでしょうか。

金融ショックで先進国の経済が危機に陥る一方、
元気のよかった中国は4兆元にもおよぶ経済対策を実施し、
世界の救世主ともてはやされました。

「世界を救った中国」という称賛と、
4兆元効果による経済的実利・・・

2009年から昨年あたりまでの中国は、
順風満帆だったといえるのではないでしょうか。

一時は近々中国が世界の覇権を握るという
見方もあったものです。

自信過剰になってしまうのは当然かもしれませんね、
なにしろアヘン戦争以来イギリスやフランス、ドイツ、
日本などにやられっぱなしで、その間、
悔しい思いをし続けてきたわけですから。

150年という年月にも及ぶ我慢のあと、
やっと訪れたチャンスです。

仲裁裁判所の判決を「紙くずだ」と切り捨てる。
国家の元首が軍事目的ではないと言いながら、
着々と人工島を軍事拠点化する。
小国に多額の貸付を行い、返済不能に陥るや港を租借する。
海外の企業が中国に進出する際、技術の移転を強要する。
著作権の侵害を厳しく取り締まるといいながら野放しにする・・

このように中国がここ数年とってきた行動は、
私たちから見れば粗暴にも見えますが、
逆に言えば、彼らはそれほどまで自信を深めていた
ということではないではないでしょうか。

ただし中国が急成長した理由の一つは、
アメリカはじめ世界が中国に対し寛容だったからです。

「経済が発展すれば中国は民主的になり、
きっと我々とうまくやってくれるに違いない。」

このような期待が中国の傲慢さを許してきた
のではないでしょうか。

ところがどうやらその期待は、
甘かったと言わざるを得ません。

経済がいくら発展しても、中国は穏健な民主化路線に
かじを切る兆しは見えません。

むしろ他国に例をみない経済論理、
すなわち「一党独裁のもとでの国家資本主義」
への傾斜をより鮮明化しつつあるよう見えます。

今年に入って、アメリカの中国に対する姿勢は一転したように
見えますが、これはトランプさんの性格や外交手法による部分
もあるのでしょうが、決してそればかりではないようです。

むしろアメリカの総意の反映といってよいのでは
ないでしょうか。

アメリカばかりではありません。

一帯一路構想に対する見方は、
特に近隣諸国の中で厳しいものへと変わりつつあるようにも
見えますし、スリランカが経験した「債務の罠」に対する警戒感も、
徐々に強くなってきました。

情報漏洩に対する警戒から、
オーストラリア政府は中国ファーウェイ製の通信機器を、
次世代通信網(5G)から締め出す決定をいたしました。

いままで中国寄りだったヨーロッパ諸国も、
最近微妙に態度を変化させつつあるように思います。

つまり中国に対する世界レベルでの警戒感の高まりから、
ごく自然な形で同国に対する包囲網が形成されつつあるといえる
のではないでしょうか。

このような状況の変化を感じ取り、
中国当局も方向性を見直しつつあるのではないかと思います。

言い換えれば、あまりに性急な覇権の追及は世界の反発を招き、
下手をすれば覇権どころか衰退への一歩になるかもしれない・・・

こんな不安感の台頭です。

仮に中国が世界との融和路線に転じ、
経済的にもゆっくりとした成長路線を歩んでくれればどうでしょう。

その場合、私たちお隣に住む日本人だけでなく、
世界も安定した経済と社会を享受することができるのでは
ないでしょうか。

中国にとっても悪い話ではありません。

確かに年率6%や7%といった高成長は期待できないでしょう、
アメリカに代わって世界の覇権を握ることもできなくなるでしょう。

それでも人口14億人ほどにもなる大国が、
例えば年率4%の成長するだけで、世界の中で十分大きな
存在感を示すことができますし、安定した社会や経済は、
中国の人々にとっても明るい未来をもたらしてくれるに違いありません。

中国が今の強硬路線から転じ、
経済的には斬新主義、対外的には柔軟姿勢に転じることの
意義は大きいと思いますし、その可能性は十分あると
僕は思います。

 

では今回はこのへんで。

(2018年11月8日)




 




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