■内憂外患の中国
みなさんこんにちは。
昨日ファーウェイ副会長が、カナダ政府に逮捕されました。
なんでもアメリカ政府の要請によって行われたそうです、
アメリカは今年4月にも、中国のZTEに対しアメリカ企業との
取引を禁止する制裁を科しましたので、今回はそれに
続く中国企業への圧力といってよいでしょう。
アメリカで今年8月に可決した「2019年度米国防権限法」は
もっと過激なようです。
同法では二段階で中国企業への締め付けが規定されています。
第一段階は
・2019年8月以降アメリカ政府や米軍、政府所有機関が5社(注)
の製品や部品を組み込んだ製品の調達を禁止
注)ファーウェイ、ZTEほか3社をさし、いずれも中国政府が
掲げる「中国製造2025」の中核企業です。
第二段階
・2020年8月以降、5社製品を社内で利用している企業は、
いかなる取引もアメリカ政府系機関と取引できなくなる
これはどういうことかと言いますと、仮に日本企業が
中国5社の部品を製品に組み込んだ場合、2019年8月以降、
アメリカ政府や政府関係機関との取引ができなくなるということです。
さらに2020年8月以降は、中国5社の製品を社内で
使っているだけで、アメリカ政府や関係機関に製品を
納品できなくなってしまいます。
今のところ日本企業に目だった反応は見られませんが、
彼らはアメリカ政府への納品をとるか、中国5社の部品や
製品を社内から締め出すか、いずれかの選択を迫られることに
なるわけです。
さらにアメリカは他国にも、5社製品使用禁止の圧力を
加えているようです、既にオーストラリア政府やニュージーランド政府は、
5G通信へのファーウェイの参入を禁止していますし、
イギリスの大手通信会社BTは、5Gに関する基幹ネットワーク
からファーウェイの締め出しを決めました。
今度アメリカ政府の圧力が強まるようなら、
日本をはじめ他の国でも、同様の動きが出てくる可能性はあると
思います。
このように攻め続けるアメリカに対し、
今のところ中国側は防戦一方で、
なかなか攻勢に転じることができません。
そればかりではありません。
最近の中国を見ていますと、
アチコチで空回りも目立つようになってきました。
一帯一路は周辺国の債務拡大が問題になりつつありますし、
AIIBは風呂敷を広げすぎたため中国の影響が薄れ、
思惑通りに使えていないようにもみえます。
AIIBで盛り上がっていた当時、中国はヨーロッパの取り込みに
成功したように見えましたが、中国経済の減速とともに、
早くも彼らに足元をみられつつあるようです。
しかたなく日本に微笑を送ってはみたものの、
日本側はかつての苦い経験があり、そうやすやすと
取り込めそうにありません。
思惑が一致するのは、せいぜいロシアと韓国、北朝鮮ぐらい
ではないでしょうか。
一方で国内に目を向けると、こちらも暗い話題が
目につきます。
アメリカとの関税引き上げ合戦の影響で、
経済には下向きの圧力がかかりつつありますし、
景気刺激策で持ち上げようにも、例のシャドーバンキング問題
があるので、あまりムチャはできません。
最近ではふたりっ子政策を解除して、少子高齢化による衰退から
逃れようとしているようですが、一度豊かさを知ってしまった国民に、
突然「産めよ増やせよ」と掛け声をかけたところで、
かつての多産時代に戻るとは思えません。
まさに内憂外患といったところではないでしょうか。
そもそも中国は成長のピークを超えており、
そこから世界の覇権に挑戦しようとすること自体、
無理があったのではないでしょうか。
自己肥大による強引な覇権狙いは世界の反感を集めるだけで、
かえって世界は中国不信を高めつつあるように思います。
このままでは同国が長年積み上げてきた経済的な成果すら、
台無しになりかねません。
中国には強引な覇権政策を見直し、
世界との融和路線に戻ってもらいたいものです、
中国自身のためにも。
では今回はこのへんで。
(2018年12月8日)
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