海外資産の相続について思うこと

みなさんこんにちは。

先日とても悲しいお電話を頂きました、
あるご契約者の方が急にお亡くなりになったとのお知らせでした。

まだ60代の半ばで大変お元気な方でした、
その方は海外がお好きでしたが、
海外滞在中に海の事故でお亡くなりになったとのことでした。

最後にお目にかかったのは10月で、
近所のデパートで一緒においしいコーヒーを飲ませて
頂きました。

その方が最初に僕の事務所にお見えになったのは
今年の夏ごろです、たった半年ほどのお付き合いでしたが、
それでも馬が合うというのでしょうか、仕事以外の
お付き合いもさせていただきました。

あんなに元気だったのに・・・

しばらくは信じられませんでしたが、
冷静にならなければなりません。

その方は国内にいくつかの不動産と、
海外の銀行口座にも預金をお持ちでした。

奥さまとお子様はいらっしゃらず、
相続人は遠方にお住いの弟さんだけです、
しかも10年以上もお会いになっていませんでした。

不動産はさておき海外口座の方は大変です。

僕は今まで何度か相続のお手伝いしてきましたが、
海外口座の名義変更は厄介です。

まず死亡診断書と遺産分割協議書、戸籍謄本など資料一式を整え、
英文に翻訳し公証人に認証してもらわなければなりません。

現地に出向く必要はありませんが、
それでも一般の方にとって、外国銀行の担当者と連絡を
とって進めてゆくのは困難な作業になります。

手続きを進めてゆくなかで、書類の不備が見つかることは
よくある話ですが、そのほかにも追加資料の提出を求められたり、
途中で連絡が途絶え、こちらから催促しなければならないといった、
基本的な商習慣の違いによるトラブルなどしょっちゅうです。

欧米系の大手銀行ですら几帳面に事務手続きを
進めてくれることなど稀で、大概の場合は私たち日本人から見れば、
考えられないような対応をされてしまいます。

一方で相続税の申告期限は待ってくれません。

相続発生から10カ月が申告の期限で、
それを過ぎるとペナルティがあります。

その間に遺産をだれが引き継ぐべきか、
資産全体のうち各相続人がどの部分を引き継ぐのか決め、
遺産分割協議書を作成しなくてはなりません。

同時に海外の銀行に連絡をとり、名義変更の手続きを進めなくては
なりません、海外事情に関して一定の経験や知識があるなら、
なんとか進められますが、聞くところによれば弟さんは
地方にお住まいで、海外の事情はもとよりお金に関しては
全くといっていいほど知識がないようです。

特にこの方の場合、海外預金の他に引き継ぐ資産は
ほぼ不動産だけです。

ですから不動産を処分しなければ、海外から戻したおカネで
相続税を支払う必要があります。

僕としてはできるだけ協力させていただくつもりですが、
なにより弟さんご本人のご意思と意識が重要です。

今回のケースの相続人は弟さんですが、
奥さんとお子さんが遺されるケースのほうが一般的です。

多くの場合奥様は、海外資産があることは知ってるものですが、
どこにいくらあって、ご主人に万一のことがあった場合の
手続きに関してなど、あらかじめ夫婦間で話し合われていることは
稀です。

なにより困るのは、ご主人が海外のおカネを送るときに
正規の手続きを踏んでいないケースや、適正な税務申告を
行っていないケースです。

いまは日本の税務当局と海外の金融機関との間で
情報の共有が進んでおり、以前のように無申告のまま
放置しておくことはできません。

しかも奥様がおカネを使うためには、
国内にそのおカネを戻さなければなりません、
このようなケースでご遺族は、大変な苦労をされることに
なります。

人間はいつどのような形で人生の最期を迎えることになるか
わかりません、特に海外に資産をお持ちの方は、奥様のために、
ただしい手続きにのっとっておカネを国内に戻す道筋を、
つけておく必要があるのではないでしょうか。

 

では今回はこのへんで。

(2018年12月13日)




 




このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
totop