日本の財政は破綻するか-2

みなさんこんにちは。

先週僕はこのメルマガで、
以下のような話しを致しました。

***

『通貨の信任は、中央銀行によって通貨供給量が
適切に管理されていれば維持できる(注)』という考えには僕も賛同しますが、
逆にもし通貨供給量が適切に管理できないほど大量の国債を、
日銀が購入を余儀なくされたらどうなるでしょう。

注)野口旭著「アベノミクスが変えた日本経済」より一部抜粋、筆者加筆

さきほども申しましたが、何が適切で何が異常なのかを決めるのは、
エコノミストや学者ではなく『市場』です。

***

上記で僕は『市場』という言葉を使い、
通貨の信任は『市場』の判断にかかっていると書きました。

ではその『市場』とはいったい何なのでしょう。

今回はその点についてさらに掘り下げてみたいと思います。

『市場』が日銀や政府の政策を適切だと考えれば、
通貨すなわち日本円の信任は維持されます。

逆に『市場』が適切だと考えなければ、
日本円への信任は維持されません、つまり
「円の暴落⇒ハイパーインフレ⇒財政破綻」という、
よく煽り系の方々がおっしゃるシナリオです。

ですからこの『市場』とはいったい何なのかという論点は、
とても重要だと思うわけです。

では改めて・・・『市場』とはいったい何なのでしょうか。

年金やファンドなど、大きなおカネを動かす機関投資家が
市場の構成要素であることは間違いありませんが、
それだけではあまりに浅すぎると思います。

なぜなら機関投資家のマネーをたどってゆけば、
その源流は年金生活者や投資信託の保有者、
あるいは生命保険などを通して私たち個人に行き着くからです。

リッチな人、そこそこのおカネを持っている人、
日々の生活でカツカツな人・・・保有資産の額は様々ですが、
それを含めて機関投資家マネーは、すべて私たち生活者に行き着くわけです。

さらに、

例えばスーパーマーケットで野菜や靴を買う、
あるときは銀行にいって預金をしたり、
少し気の利いた人なら投信や株の売買をする、
そしてたまに外貨に両替し海外に送金する、

こうやって私たち一人ひとりが生活の中で日本円を使い、
日々直接おカネに触れているわけです。

そのような観点でいえば、私たち一人ひとりの集合体こそが、
『市場』そのものだといってよいでしょう。

ですから私たち生活者が日銀や政府の政策を信任する限り、
通貨は通貨であり続け、ハイパーインフレも財政破綻もない
ということになるでしょう。

逆に私たちの信任が失われた時点で、即通貨は元の
紙やデータに戻ってしまいます。

今のところ財政破綻を懸念するのはほんの一部の人たちで、
逆に昨今の日本国債の金利の低さなど見ていますと、
日本円に対する市場の信任は盤石のようにすら見えます。

政府が発行してきた国債のうち、過半を日銀が保有するという
現状を加味しても、いまのところ日本円に対する市場の信任は、
揺らいでいないといってよいでしょう。

ただしそのような現状に、あぐらをかいていて
よいとも思えません。

日本人は一方行に流れやすい国民性を持っているように
見えますので、いったん通貨に対する信任が低下すれば、
一気に市場に動揺が伝染するという懸念は、
持っておくべきではないでしょうか。

それが危機管理だと思います。

経済が物理や化学など自然科学と違う点は、
人間の心理によって、
結果がいかようにも変わるという点ではないでしょうか。

 

では今回はこのへんで。

(2019年2月1日)




 




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