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日本の財政は破綻するか-1

みなさんこんにちは。

日本の財政については、様々な立場の人が様々な意見を
述べています。

ある人は来年にでも破綻するといいますし、
またある人は破綻などあり得ないといいます。

果たしてどちらが正しいのでしょう。

この問題について考える場合、
極端なケースを想定し、そのようなケースでどうなるのか、
考えてみるのも一つの方法ではないでしょうか。

例えば現在の政府の年間収支を仮に

・税収を中心とした歳入⇒70兆円
・年金や医療保険費などを含む歳出の合計⇒100兆円
・現在の公的債務の合計⇒1100兆円

と考えたうえ、
今後は歳入はそのままで変化せず、
一方で歳出のみが300兆円に増えてしまうという、
極端なケースを想定してみましょう。

あり得ない話ではありますが、このような極端なケースで
いったいどうなるのか考えてみることも無駄ではないと思います。

税収は70兆円のままですから、足りない230兆円ぶんは
毎年国債を発行しなければなりません。

現在の国債発行額は、年あたり30兆円ほどですから、
7倍以上も国債を発行する勘定です。

もしこのような状態が5年も続けばどうでしょう。

この場合債務残高は2250兆円と今の2倍になりますし、
10年続くなら3400兆円で今の3倍ほどです。

・1100兆円(現在の債務残高)+(5年×230兆円)=2250兆円
・1100兆円(現在の債務残高)+(10年×230兆円)=3400兆円

このような巨額の日本国債を、
いったい誰が買うのでしょう、

日銀以外に・・・

今でも日銀による量的・質的緩和によって、
年あたり30兆円ほどの国債を日銀は買っており、
政府が発行した国債の半分ほどを日銀が持っている形です。

注)2014-2016年は年あたり80兆円ほどの国債を買っていましたが、
  それ以降は減らしています。

仮に上記のように毎年230兆円の国債を政府が発行するならば、
日銀はほぼ同額の国債を買い続けなければならないでしょう。

日銀による国債の購入は、日銀が供給するマネタリーベースによって
行われます、マネタリーベースというのは日銀が印刷する
紙幣と日銀当座預金の合計で、まあ大雑把に言えば「日銀が
供給するおカネの総量」です。

その結果、日銀のバランスシートはドンドンと増えて
行ってしまいます。

つまりこれは日本政府が国債を際限なく発行し続け、
それをほぼ全量日銀が買う構図です。

一方で経済の規模はほとんど大きくはなりません。

世の中何が正常なのかわかりません、
スイスやドイツのように公債の発行残高が、
GDPの半分程度に収まっている国が正常なのか。

それとも上記ケースのように、国債の発行残高が3600兆円ある一方で、
国全体が一年で稼ぐ価値、すなわちGDPが500〜600兆円にとどまる
国が正常なのか。

それを決めるのは、エコノミストでもなく学者でもなく、
おそらく市場です。

通貨は紙(または電子データ)でできており、
もちろんそれそのもに価値はありません。

通貨が通貨であり続けられるのは、通貨に対する市場の信認が
維持されているからです。

『通貨の信任は、中央銀行によって通貨供給量が
適切に管理されていれば維持できる(注)』という考えには僕も賛同しますが、
逆にもし通貨供給量が適切に管理できないほど大量の国債を、
日銀が購入を余儀なくされたらどうなるでしょう。

注)野口旭著「アベノミクスが変えた日本経済」より一部抜粋、筆者加筆

さきほども申しましたが、何が適切で何が異常なのかを決めるのは、
エコノミストや学者ではなく市場です。

上記のケースのようにGDPが600兆円の国が、3600兆円の国債を
発行しているとして、果たしてその国の通貨に対する信認が
維持されるでしょうか。

「そんな極端な話しを持ち出して、大げさに煽るな」

とお叱りを受けるかもしれせんが、果たしてそう言い切れる
でしょうか。

まさか年あたりの歳出が300兆円に膨らむことは無いでしょうが、
200兆円ならどうでしょう、200兆円が無いとしても、
150兆円ならどうでしょう・・・

現在の歳出規模が100兆円強ですから、150兆円ならむこう
10年ほどの間にあり得ないとは言い切れません。

つまり極端なケースである歳出300兆円と、
現在の100兆円の間のどこかに、日本の近未来の現実が
あることは間違いありません。

であれば「来年にも日本の財政が破綻する」という極端な説と同様に、
「わが国財政の破綻はあり得ない」という説に対しても、
私たちは少し疑ってかかる必要があるのではないでしょうか。

 

では今回はこのへんで。

(2019年1月23日)




 




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