| ■株価は先を見て動く 
 みなさんこんにちは。 確か昨年の4月頃だったでしょうか・・・ 業績が絶好調だったファナックが、翌期(2019年3月期)の業績予想を下方修正しました。
 当時、欧米や中国で産業用ロボットの需要が伸びており、同社が得意とする、工作機械向け装置などの売り上げも好調でした。
 この突然の業績修正を受けたアナリスト達は、「国内外の景況感改善で機械受注が急に大きく落ち込むとは
 考えにくい(注)」と首をかしげていたといいます。
 注)2018年4月27日、日本経済新聞記事より 米中間の貿易摩擦問題は、既に顕在化していたものの、アナリストを含む大半の市場関係者は、この時点では、
 実体経済への影響は軽微だと考えていたわけです。
 ところが中国向けロボットや、工作機械などの受注減少は、このあと徐々に表面化し始めます。
 中国はそれ以前から既に循環的な景気低迷期に入っていましたが、それに加えて起きたのが米中間の貿易摩擦問題です。
 お互いの政府による関税の引き上げ合いに発展し、中国企業の設備投資は落ち込むのではないか・・・、
 きっとファナックはその微妙な環境の変化を感じ取ったのでしょう。 ファナックだけではありません、その後は同業他社や半導体製造装置のメーカーまで、幅広い会社に同様の懸念が
 少しずつ広がって行きました。
 やがてその懸念は現実のものになり、多くの日本のメーカーが、中国からの注文の減少や取り消しなどに見舞われることになります。
 ではこの間ファナックの株価はどう動いたのでしょうか。 上記のようにアナリストが首を傾げた業績の下方修正は昨年4月末の出来事でしたが、同社の株価はそれに先立つ2月に、
 既にピークの32,000円台を付けています。
 つまり業績絶好調のなか、同社の株価はすでに下げ始めていたわけです。
 このことからファナック株は、中国経済の減速による業績悪化を、すでに業績下方修正の発表前に織り込み始めていたことがわかります。
 同社株は4月の下方修正時点ではすでに26,000円前後まで下げていましたが、その後も下げ止まらず、今年1月の
 16,000円台まで下げ続けました。
 上記で僕は顕著な事例としてファナック株を挙げましたが、中国依存度の高い同業者の株価を見ると、
 ほぼ同様の動きをしていることがわかります。
 つまり株価は業績修正発表の前に、業績の悪化を織り込んでいたといえるでしょう。
 このような視点で最近の株価を見るとどうでしょう。 昨年のファナック以来、業績の下方修正が続く製造業の株価ですが、ここのところ業績の下方修正にも関わらず、
 逆に株価が上がるケースが増えてきました。
 つまり昨年2月に起きたファナックのケースの逆です。 株価は半年から一年先を見て動きます、目先の製造業、特に中国向け依存度の高い企業の業績が、
 今年の年央から年後半にかけ底を打つことを、
 株価は予見しているのではないでしょうか。
 そこに投資のチャンスがあると僕は思います。   では今回はこのへんで。 (2019年2月12日) 
 
 
   
 
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