パラジウム貨

みなさんこんにちは。

昨年来パラジウムが急騰していますが、
皆さんはそのパラジウムでできたコインがあることを
ご存知でしょうか?

パラジウムは金や銀と違って産出量が少なく、
コインの素材としては不向きなのですが、
ほんの一時ロシアでパラジウム貨が発行されたことがあります。

例をあげれば1989年〜1995年にかけて発行された、
かわいらしいバレリーナが描かれたシリーズです。

重さは1オンス(約31グラム)でパラジウムの純度は99.9%、
額面は25ルーブルです。

当時のパラジウム相場を調べてみると、例えば1990年の
年間平均価格は1オンス≒114ドルです。

では当時の金貨とプラチナ貨はどうだったのでしょう。

例えば同じくロシアで1990年に発行された100ルーブル金貨が
ありますが、こちらの重量は17.28グラムで金の純度は90%です、
従って純金の含有量は、1オンスではなく0.5オンスと小ぶりです。

このあたりは面白いですね。

さきほどのパラジウム貨はパラジウムの含有量が1オンスも
ありますが、額面はたったの25ルーブルに過ぎません。

これに対し金貨のほうは、金の含有量が半分の0.5オンスしかないのに、
額面は100ルーブルの設定です。

ここに当時の金とパラジウムに対する相場観がよく
出ていると思います。

つまり金貨の額面はパラジウム貨の8倍なのです。

ちなみに1990年の金相場は、年間平均で
1オンスあたり約384ドルもしていました。

さらにプラチナもみておきましょう。

ロシアでは昔からプラチナも豊富に産出しましたので、
世界でも珍しいプラチナ貨が当時もありました。

上記と同じ年1990年にはプラチナ含有量0.5オンスの
コインが発行されていますが、額面はさきほどの金貨より、
さらに高額で150ルーブルにもなります。

これもご参考ですが、1990年当時のプラチナ相場は、
1オンス=約467ドルでした。

ここまでのところをまとめますと、
以下のとおりです。

□パラジウム

・額面25ルーブル
・金含有量→1オンス
・発行年のパラジウムの年間年平均価格→1オンス=約114ドル

□金貨

・額面100ルーブル
・金含有量→0.5オンス
・発行年の金の年間年平均価格→1オンス=約384ドル

□プラチナ貨

・額面150ルーブル
・プラチナ含有量→0.5オンス
・発行年のプラチナの年間平均価格→1オンス=約467ドル

これを見ると、いかにパラジウムが安くプラチナが高かったか
よくわかります。

当時はパラジウムではなく、まだプラチナがガソリン車の触媒
として使われていましたので、このようなプラチナ高が
続いていたのでしょう。

あれから28年・・・

3者の関係は大きく変動し、金をはさんでプラチナと
パラジウムが入れ替わってしまいました。

以下は現在のそれぞれの価格です。

□プラチナ→1オンス=約860ドル
□金→同約1300ドル
□パラジウム→同約1580ドル

この下克上によって、上記コイン相場の序列も変わりました。

まずはパラジウム相場の上昇による、
「パラジウム25ルーブル」コインの価格急騰です。

逆にプラチナ貨の相場は、
坂道を転げ落ちるように下げてしまいました。

今僕の目の前に、ちょうど1年前に発行された
泰星コインの即売カタログがありますが、
それを見ると上記25ルーブルの価格は11万円とあります。

これに対し、同社最新号のカタログでは18万円
にもなっています。

一方で額面では100ルーブと高い金貨の価格は8万円ほど、
同じく150ルーブルのプラチナ貨なら5万円ほどで
買えてしまいます。

ちょうど発行当時に設定した額面がひっくり返った
形になってしまいました。

私たちがいま当たり前だと思っている景色が、
何年か後になってみれば様変わりしてしまう・・・

投資の世界でよく目にする出来事です。

 

では今回はこのへんで。

(2019年3月20日)




 




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