■いま割安に放置されているモノは何か
みなさんこんにちは。
先週のこのメルマガで、
この28年の間にパラジウムは1オンス当たり
114ドルから1580ドルへと14倍近く値上がりしたという
お話しをいたしました。
いつの世でも割安に放置されている資産はあるものです。
そのような観点で今を見渡すとどうでしょう、
どこかに割安に放置されている投資の対象はあるでしょうか。
例えば株はどうでしょう。
もちろん個別銘柄を見れば、割安に放置された銘柄もありますが、
市場全体を見た場合、とても割安感があるようには思えません。
おそらく先進国株の平均平均PERは、
足元で15倍前後ではないでしょうか。
PER15倍はどちらかとしえば少し割安感がありますが、
そのPERの前提となるEPS(注)を見ればどうでしょう。
注)EPSは一株当たりの利益で、これは企業業績と連動します。
リーマン・ショック以降の量的拡大や低金利政策により、
企業は低コストでおカネを借りることができるようになり、
ここ数年の世界的な企業業績は追い風参考的なところがあります。
その結果EPSが実力以上に膨らんでいる可能性があり、
この場合たとえPERが適正値であっても、
株がバブル化している可能性は十分あると思います。
では債券のほうはどうでしょう。
こちらは株よりダイレクトに量的拡大の恩恵を受けています、
なぜなら中央銀行がすでに巨額の国債を購入しているからです。
その結果、金利は歴史的な低水準にあり、逆に債券相場は
記録的な高値です。現状は明らかな債券バブル状態にある
といってよいでしょう。
商品相場の中には例えば穀物や原油など、過去の高値と
比べて安いセクターがありますが、それでも今の相場に
割安感があるかといえば、おそらくそれは「ノー」でしょう。
もちろん28年前のパラジウムや最近のコバルトのように、
新しい製品や技術の登場によって、特定のセクターが
大化けする可能性もありますが、それを期待して先行で仕込むのは、
かなりの忍耐とリスクが伴います。
では不動産はどうでしょう。
世界的に見て先進国の不動産には割高感が目立ち始めました。
日本の不動産は過去のバブル崩壊の反動で、数年前まで
あきらかな割安感がありましたが、それも過去のお話しです、
すでに現在の相場は適正水準にあるといってよいでしょう。
少なくとも割安感はなくなりました。
つまりリーマン・ショック以降続いてきた量的拡大によって
増殖したマネーが投資機会を求めてアチコチ流れ込んだ結果、
すでに大概のものは買われてしまい、その結果、
割安感が残っている市場はほとんど残っていないといってよい
のではないでしょうか。
割安感が残っているとすれば、このような大規模な
マネーが流れ込みにくいニッチな領域のはずで、それは例えば私が
以前から申し上げている美術品やコイン、カラーストーンなど
規模が小さな現物市場ではないでしょうか。
ただしその現物資産市場にも、ここのところ少しずつ
投機マネー流入の気配が漂ってきました。
例えば一部のコイン銘柄群です。
特にイギリスの近現代コインの一部などは、
すでにバブル化しつつあります。
美術品の中でも、大きなおカネの受け皿となる
現代美術は明らかに様子がおかしく、すでにマネーゲームの
対象になっていると思います。
一方で同じコインでも例えば古代やアジア、南米など大半の市場は
明らかに割安感がプンプンしていますし、美術品でも
まだまだ隠れた割安市場はたくさんあります。
例をあげれば我が日本の近代工芸です、明治時代以降の
陶器や漆器、日本画や版画には、世界に誇れる普遍的な美があると
思いますが、いまだに二束三文に放置されていたりもします。
カラーストーンでは、サファイアやヒスイ、スピネル、
ルビーなど、希少性のわりには強い割安感があります。
特に良品で真っ赤な大粒レッドスピネルなど、
なぜこんな安いのかと思うほどです。
すでにビッグマネーによってペーパーアセットが買い進まれて
しまった現状で、取り残された市場をさがすのは簡単な
事ではありませんが、今でもこのように割安感が漂う市場も
あります。
28年前のように・・・
(2019年3月27日)
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