■マイナス金利の住宅ローンはあるか
みなさんこんにちは。
私たちの多くは住宅を買うときにお金を借ります。
代表的な住宅ローンはフラット35で、
これは日本の10年物国債の金利などを参照に、
利率を決めているといわれています。
現在のフラット35の金利水準は1.27%からという
ことになっていますが、もしこの金利がマイナスになれば
いったいどのようなことが起きるのでしょう。
金利がマイナスになるということは、借りる側、すなわち
私たちが逆に利息をもらえるということです。
例えば皆さんが3000万円の住宅ローンを組んだ場合、
総返済額が2800万円で済むというイメージです。
このインパクトは結構大きいと思います。
借りた額より総返済額が少なくなりますので、
とにかく「借りたモン勝ち」です。
現金の残高を維持したまま、多くの方はめいっぱいの
ローンを組むことになるでしょう。
その結果、住宅の購入は促進されますし、
ローンの支払額が減る分、国民は消費を増やそうとする
でしょう。
これをさらに拡大すれば、いったいどのような
ことが起きるのでしょうか。
たとえば日銀が民間の銀行に対してマイナスの金利で融資を行い、
住宅ローンだけでなく、幅広い融資がマイナス金利状態になる
といったイメージです。
その場合例えば民間の銀行が企業に行う融資も、
マイナス金利の貸し出しとなるかもしれません。
企業側は借りれば借りるほど、銀行から逆に利息を
もらえますので、先ほどの住宅ローンと同じく、
「借りたモン勝ち」状態です。
企業は借りたお金で積極的に設備投資などを行いますので、
波及的に他の企業の売り上げも増え、時間の経過とともに
やがて賃金の上昇⇒消費の拡大⇒インフレといった具合に、
経済の好循環が始まるかもしれません。
もっともこれは分かりやすく説明するための極端なお話で、
実際には住宅ローンがマイナス金利になるほど、
日銀はマイナス金利貸し出しを深堀りするとは思えません。
私たちにとって、せいぜい住宅ローンの利息が
今より少なくなる程度にとどまることでしょう。
それでもそのインパクトは無視できません。
わずか零点数パーセントの金利低下でも、
総支払額は数百万円の単位で節約できる可能性があります。
住宅ローンだけではなく、民間銀行から企業に対する
融資の金利も下がりますので、社会全体でみると
その効果は絶大です。
日銀はあらゆる市場にマネーを供給する元締めですから、
その蛇口部分でマイナス金利を適用すれば、上記のように
緩やかなインフレへの誘導に成功するかもしれません。
上記は最近ささやかれ始めた「日銀のマイナス金利貸出」
の基本的な考え方です。
日銀はすでにバランスシートを拡大しつくしていますし、
民間銀行からの受け入れ預金(「日銀当座預金」)に対し、
一部マイナス金利を適用しています。
注)これは先ほどの「マイナス金利貸し出し」ではなく、
逆に日銀が借りる側になる場合の金利です。
景気の後退懸念から、アメリカ(FRB)とヨーロッパ(ECB)は、
再度量的緩和や利下げにむけて舵を切り始めましたが、日銀は
すでに政策を総動員しており、従来の量的緩和と低金利政策を、
これ以上拡大することは困難かつ危険でもあります。
ですから今回お話しした「マイナス金利貸し出し」は、
日銀にとって、選択肢になる可能性はあると思います。
その影響の大きさから考えて、
よほど慎重に事を運ぶ必要があるでしょうが、
もし実行されたなら、私たちの生活を一変させる可能性はあるでしょう。
では今回はこのへんで。
(2019年4月4日)
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