■金融商品を源流で買う効果
みなさんこんにちは。
金融商品の購入コストは源流に近づくほど低くなります。
銀行の窓口で勧められる「一時払い外貨建て保険」を
例に考えてみましょう。
この保険の仕組みはこうです。
1.加入者は保険会社に保険料を一時払いする
2.保険会社は集めた保険料のうち80%で外国債券を買う
残りの20%で株式を買う
3.保険会社は、満期時に運用実績に応じて加入者に満期保険金を支払う
例えばアメリカ国債の10年物金利は現在2%ほどです、
ですから集めたお金のうち80%でアメリカの10年物国債を買っておけば、
それだけで10年後には投資した元本を米ドル建てで確保できるわけです。
注)2%×10年=20%、80%+20%=100%
一方で株式で運用する20%部分は変動しますが、
米国債部分で元本が確保できていますので、10年後の満期時に、
保険加入者に外貨ベースで元本を保証することができます。
さらに株式運用部分が好調なら、
それを上回る成果を上げることができます。
一見素晴らしい仕組みに見えるかもしれませんが、
これは私たち個人でもできます。
証券会社の店頭や電話で、銘柄を指定すれば直接「アメリカの国債」を
買うことができますし、株にしてもインデックッス・ファンドや
ETFを使えば、ローコストで運用を続けることができます。
では保険経由で投資する場合と比べ、
私たちが株や債券を直接買う場合は、
どの程度の運用収益に差が出るのでしょう。
保険会社が開示する資料より、
・米国債部分⇒年当たり0.7%
・株式部分⇒年当たり1.75%
それぞれ余分にコストを、保険加入者は支払っていることがわかりました。
注)5/25日本経済新聞の記事より
逆に言えば、私たちが頑張って債券や株を源流で買うことができれば、
このようなコストを支払う必要はありません。
もし皆さんが1000万円のおカネで投資を検討されておいでなら、
「一時払い外貨建て保険」の運用手法を取り入れてみるのも一つの方法です、
たとえば650万円で20年後に満期が来る米国債を買い、
残った350万円で世界株分散型ETFなどをお買いになるという手法です。
20年後の2039年に償還される、アメリカのゼロクーポン債の現在価格は
65.42ドルです、2039年後には(米国が破綻しない限り)100ドルで
償還されますので、この部分だけで元手の1000万円は確保できます。
注1)650万円×100/65.42≒1000万円
注2)為替レートが変動しない、税金は考慮しないという前提です
一方で株に投資した350万円のほうはどうでしょう、
仮に向こう20年の世界株ETFのリターンが年率5%だとすれば、
この350万円は20年後に約929万円になる計算です。
すでに債券部分で1000万円確保していますので、
この株式部分929万円を上乗せすると合計1929万円です。
注)上記同様
しかも最悪の場合でも元本の1000万円は確保できます。
ご参考までにさきほどの「一時払い外貨建て保険」を1000万円
購入した場合、20年後の受取額は1300万円ほどと計算できました。
注)同じく為替レートが変動しない、税金は考慮しないという前提です
運用成績に関しても条件をそろえ、手数料相当のみ収益率を下げ
独自計算いたしました。
つまり川下で買う場合と源流で買う場合の収益の差は
600万円以上にもなる計算です。
以上はほんの一例ですが、
金融商品の世界はどれも似たり寄ったりです。
株式投資の源流は株の直接投資です、
川下に向かってETF⇒投資信託⇒ファンド・オブ・ファンズ⇒保険
という具合にコストはあがります。
注)ファンド・オブ・ファンズ:いくつかの投信に再投資するファンド
債券の世界に行きますと
債券⇒ETF⇒投資信託⇒ファンド・オブ・ファンズ⇒保険
の順にコストが増えます。
不動産では
不動産⇒不動産投資信託(REIT含む)
ですし、商品相場の世界では
コモディティ現物⇒ETFや商品ファンド
という具合です。
源流で金融商品を買うのはそれなりに知識と経験が必要ですが、
それさえできれば、中抜きによって随分と大きなコスト削減ができるのです。
では今回はこのへんで。
(2019年7月3日)
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