■米中摩擦と株価
みなさんこんにちは。
米中間の貿易摩擦が表面化してから、
そろそろ一年がたとうとしています。
当初は単純な貿易摩擦だとみられていましたが、
徐々に両国間の覇権争いの様相となってきました。
アメリカは「中国製造2025」を攻撃目標にし、
ファーウェイやZTEなど中国の先端企業を封じ込めようとし
ていますし、逆に中国は製造業を起点に、
世界経済の覇権を握ろうとしているようにみえます。
そういえばかつて、日本とアメリカの間でも
似たような出来事がありました。
1980年代に本格化した日米貿易摩擦です。
結末はみなさんご存じの通り日本の完敗でしたが、
それでもそこに至るまで10年以上もかかりました。
日本と違い中国は世界覇権に興味があるようですので、
日米の時ずっとよりやっかいです。
しかも米中間にはイデオロギーの違いもありますので、
米中摩擦の終息までには相当の歳月を要するのではないでしょうか。
もちろんこの問題は私たちと無縁ではありません、
特に資産運用の観点で見ると影響は甚大です。
私たちが今後の資産運用プランを考える場合、
米中摩擦の長期化、もしくは常態化を前提に
考える必要があるといえるでしょう。
たとえばすでに世界経済は減速傾向にありますが、
「減速」のその先にはいったい何が待っているのでしょう。
もし減速にとどまらず、その先
深い景気後退期に入ってしまうなら、今すぐにでも
私たちはポートフォリオを全面的に見直さなくてはなりません。
たとえば株は当面期待が持てないでしょうし、
リスク回避志向が強まり日本円や金が買われるでしょう。
景気後退に備え、世界の金利はさらに低下するでしょうし、
中央銀行による紙幣の増刷(つまりQE)が再加速し、
近い将来また世界のどこか発で大きな金融ショックが
起きるかもしれません。
もちろん可能性として、このような悲観的なシナリオも
想定しておかなければなりませんが、
一方であまりに過剰な反応を僕はお勧めいたしません。
経済の構成要素をどんどんと細かく分解してゆくと、
最終的には個々の企業に行き着くと僕は思うのですが、
その企業という単位からこの貿易戦争は、いったい
どのように見えているのでしょう。
たとえば米中摩擦によって苦境に立つファーウェイです。
同社が対象とする市場は、中国だけでも相当の規模はありますが、
そこだけに満足するとは思えません。
アメリカの関与が薄い地域、たとえばヨーロッパやアジア、
アフリカで活路を見出そうとするでしょう。
同社はその生存をかけ、
米中摩擦に適応した新しい生態系の構築を目指すに違いありません。
ただし必ずしも彼らが成功するとは言い切れません、
ファーウェイが新しい環境への適応に失敗すれば、
世界経済にどのような影響を及ぼすのでしょう。
同社はすでに世界のサプライチェーンに組み込まれています、
ですから同社が破綻したばあいサプライチェーンは分断され、
その結果、同じ生態系のなかで生きているすべての企業は、
大きな打撃を受けるはずです。
同社に半導体を販売する日本のデバイスメーカー群やイギリスのアーム社、
同社のスマホを販売する通信会社、
同社にアンドロイドを販売するグーグル・・・
ただしそれも一時のこと、かりに既存の生態系が崩れても、
時間の経過とともに個々の企業は「ファーウェイ抜きの新しい生態系」
を構築するでしょう。
個々の企業は常に新しい環境に適応する能力を持っていると僕は思います。
あたかも生命体のように・・・
冒頭で申しましたように、
僕は米中摩擦の解消は長い年月を要すと思います。
ただし一方で上記のように、いずれ世界経済は米中摩擦を前提に、
新しい秩序を再構築することになるでしょう。
もちろん新しい秩序への移行期には、
かならず一定の痛みを伴いますが、それも未来永劫続くものでは
ありません。
私たちはその先の新しい世界の到来に向け、
投資の種を今仕込んでおくべきではないでしょうか。
5GやIoT、AI、ロボット、新世代自動車、全自動倉庫・・・
私たちの生活を大きく変える新技術の芽は豊富です。
では今回はこのへんで。
(2019年8月22日)
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