■マネーは実物資産へ向かう
みなさんこんにちは。
先週に続き、
今回もペーパーアセット増殖への備えについて、
お話ししたいと思います。
中央銀行による紙幣の大量印刷は、
二つのルートで実物資産への投資につながっているようです。
一つ目のルートは金利の低下です。
中央銀行(以下「中銀」)が市中から国債などを大量に買い付け、
その対価として自らが刷った紙幣を支払う・・・
これが中銀が行っているQEと呼ばれる政策です。
このように中銀は市中から大量の国債を買い入れますので、
国債の価格は上がり金利は下がります。
一方ですべての金融商品の保有から得られる収益は、
国債の保有から得られる収入、つまり国債の金利(以下「基準金利」)
と比較されます。
たとえば金(Gold)です。
私たちが金を持っていても、
国債と違って1円の利子ももらえません。
今の日本の個人向け国債10年物の利率はわずかに0.05%ですが、
仮にこの利率が2%もあればどうでしょう。
私たちが1000万円でこの国債を買えば、毎年16万円(税引き前)の利息を
受け取ることができます。
一方で同じおカネで金を買えば利息はゼロです。
金を買っても利息がゼロ、
国債を買えば16万円の利息がもらえるなら、
金より国債を選ぶ人が増えるはずです。
このように金利が高い時には、収益を生まない実物資産は避けられますが、
逆に今のように金利が低いときは実物資産が好まれるのです。
つまり
中銀による紙幣の大量印刷⇒基準金利の低下⇒実物資産へのおカネ流入
というルートで実物資産へおカネは流れ込むといってよいでしょう。
もうひとつ実物資産におカネが流れ込むルートがありますが、
そちらは上記と違って心理的な理由で起きています。
中銀が大量に紙幣を印刷すると紙幣一枚当たりの価値が薄まり、
結果的に私たちの紙幣に対する信頼感は低下します。
各国の中央銀行が米ドルから金(Gold)へ資金をシフトしているのも、
フェイスブックによる新通貨リブラ設立の動きも、
足元で銀の相場が上がりつつあるのも、
中国人が自国のアンティーク・コインやカラーストーンに資金を移すのも、
年金が実物資産投資を増やすのも・・・
おそらく根っこは同じで、
中銀による紙幣の大量印刷⇒既存の通貨体系への不安感の台頭
⇒実物資産へのおカネ流入
というルートで、
実物資産におカネが流れ込んでいるのだ思います。
そして先を見渡しても、
今起きているマネー増刷の流れは止まりそうにありません。
であれば「金利の低下」と「既存通貨への信認低下」という二つのルートで、
これからも実物資産におカネが移動する傾向は続くのでは
ないでしょうか。
新しい貨幣の秩序が構築されるまでは・・・
では今回はこのへんで。
(2019年9月2日)
■このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。
「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
|