ユニコーンバブルと危機管理

みなさんこんにちは。

先週僕はこのメルマガで、
現在の「金利の水没現象」の理由として

・消費の変化(モノから無形資産へ)
・大規模な設備投資型産業の衰退

などを挙げさせていただきました。

特におカネを稼ぐ力の強い産業(注)では、
今までの重厚長大型企業と違って設備や人件費を軽くでき、
その結果として企業のカネ余り現象がみられるようになりました。

注)例えばGAFAに代表されるプラットフォーマーやフィンテック系企業

金利が下がるのは借り手にとっては悪いことではありませんが、
それでも問題はあります。

一つ目は金融機関の業績に与える悪影響です。

おカネの貸し手である銀行にとって、金利の低下は収益の減少を
意味していますので、業績に与える影響は深刻です。

それでも銀行は生きてゆかなくてはなりません。

一昨年起きた「かぼちゃの馬車事件」をみても、
スルガ銀行が何とか低金利下で生きてゆくために、
苦し紛れに手を出してしまった、
禁じ手という面もあったのではないでしょうか。

現在の低金利状況が今後も続くなら、
このような金融機関の不祥事に対して、
私たちは目を凝らしておかなくてはなりません。

被害者にならないように・・・

二つ目は本来退出すべき企業、いわゆる「ゾンビ企業」が
増えてくるのではないかという懸念です。

おカネを借りるためのコストが下がりますと、
本来なら生きてゆけない会社でも存続可能です。

淘汰されるべき会社が生き延びることにより、
人的資源や設備などの適正配分が妨げられ、社会全体でみれば
経済が停滞する懸念があると思います。

三つ目はチープなマネーが氾濫することによって、
経済が不安定になる懸念です。

人の心は一つの方向に流れやすいものです。

たしかにこれからも低金利現象が続く可能性が高いと思いますが、
金利は定規で引いたように直線的に低下するわけではありません。

むしろ金利が下がれば下がるほど、人の気持ちの中に
「万一金利が急に上がればいったいどうなるのか?」といった
不安感が高まるもので、これは私たちが2008年の金融ショックの
おり経験したとおりです。

低金利に慣れきってしまった会社はチープなおカネを調達し、
設備投資や研究開発ではなく、そのおカネでせっせと
自社株の償却という株価対策やM&Aに励んできました。

さらには今はやりのIPOやユニコーンです。

投資家は流行に乗って、
赤字続きで実態のない企業にそのおカネを投入しています。

もちろんそのような向こう見ずなおカネが、
今のGAFAを育てたという面もありますが、
なんでも行き過ぎはいけません。

知らず知らずのうち「IPOバブル」、「ユニコーンバブル」
崩壊の芽が膨らんでいるのではないでしょうか。

このような状態で、
もし金利が一時的に上昇するようなことがあればどうでしょう。

経済は「ヒトの心理」で動き、
その「ヒトの心理」は一方向に流れすいものです。

チープだったはずのマネーの金利は急騰し、
ゆるみ切った企業は想定を超えた利払いを迫られ、
その結果、世界の経済は一気に収縮する・・・

2008年の再現のリスクは徐々に高まっているのでは
ないでしょうか。

このような時にこそ私たちは冷静になって、
粛々と危機管理を進めるべきではないかと思います。

 

では今回はこのへんで。

(2019年9月26日)




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