ドル基軸体制の崩壊とその対策-2

みなさんこんにちは。

前回のメルマガで僕は、

・覇権国の通貨は基軸通貨になる可能性が高い
・今起きている米中の覇権争いにの結果、アメリカに代わり、
 次の覇権を中国が握る可能性もゼロではない

というお話しをいたしました。

今回は

・もし人民元が基軸通貨になるようなことがあれば、
 日本円やアジア諸国の通貨は、どのような位置づけになるのか。

・さらにその場合に備え、
 私たちはどのような対策をとっておくべきなのか。

以上2点について少し考えてみたいと思います。

前回のメルマガでお話ししたように、
長期的視点で見れば、為替レートには、その国の国力が
投影されると僕は思います。

これはどういうことかといいますと、
かりに中国が覇権を得て人民元が基軸通貨になった場合、
人民元がいまより数段強い通貨になるということです。

先週のメルマガでも紹介しましたが、
19世紀末、ポンドが基軸通貨だった時代の対ドルレートは、
1ポンド=4.8ドルほどでした。

その後、世界の基軸通貨はポンドからドルに移りましたが、
その間ポンド安ドル高が進み、現在のレートは
1ポンド=1.3ドルに過ぎません。

ではそのような世界で日本円はどうなるのでしょう。

日本とアメリカの国力の将来を考えた場合、
どう考えても日本の勢いがアメリカに勝るとは考えられません。

人口構成や移民に対する考え方、
出生率などあらゆるデータから考えても容易に予想がつきます。

では例えばアジア諸国の通貨と日本円をくらべるとどうでしょう。

状況は似たり寄ったりで、
おそらく日本円の地盤沈下は避けられそうにありません。

逆にアジア諸国の通貨は、人民元に追随する形で
強くなるでしょう。

よく考えてみれば、
日本円の地盤沈下はすでにおきているのかもしれませんね。

購買力平価説に準ずれば、
デフレ国である日本の通貨は、例えば人民元などインフレ国の通貨
に対して強くならなければなりません。

が、実際にはどうでしょう。

円/人民元レートは、1995年あたりの1元=11円程度を
ピークに徐々に円安傾向にあり、現在では1元=15.5円程度まで
円安が進んでいます。

つまり

両国のインフレ率だけをみると、本来は円高になるべきなのですが、
実際にはその逆で円安に動いたわけです。

(1元=11円)⇒ (1元=15.5円)
なら単純に計算して40%ほどの円安ということになりますが、
体感的に40%どころではなくその数倍も円安が進んだイメージです。

このことから教科書通りの購買力平価説は間違っており、
『豊かさによる補正』をかけなければならないことがわかります。

簡単に言えば

日本はこの間、相対的(注)にみた貧困化が進んでおり、
それが為替レートに反映されているということです。

注)相対的というのは、近隣のアジア諸国に比べてという意味で、
  絶対的な貧困化が進んでいるということではありません。

ですから

現在の日本の物価は、中国人やアジア人の観光客から見れば、
随分と安く見えているはずで、それは昨今の日本観光ブームをみても
よくわかります。

今後は人民元やアジア諸国の対円レートはさらに切りあがり、
私たちの相対的な豊かさの地盤沈下が続くとみておくべきでしょう。

ただし

国としての豊かさは失われても、
私たち個人レベルではそれを回避する方法はあります。

一つ目はこれらの国の株式や債券、通貨などを持ておくことで、
これは直接的な投資です。

もう一つは中国人やアジア人が好む実物資産を先回りして
買っておくことで、これは間接的な方法といえるでしょう。

 

では今回はこのへんで。

(2019年11月26日)




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