■新型肺炎と株価
みなさんこんにちは。
ここのところ日本株はずいぶん下げてますね、
久々に日経平均24,000円が見えてきたと思ったら、
新型肺炎の影響で年初に逆戻りです。
でもよく考えてみれば不思議です。
株価はよく一年ほども先をみて動くといいますが、
たとえば一年後の世界経済はどうなっているのでしょうか。
株価の先見性を信じるなら、
日本経済の一年後はかなり深刻な状態になっていると
考えなければなりません。
確かに日本は中国経済との結びつきが強いので、
仮に中国経済がしばらく低迷期に入って抜け出せないとしたら、
日本経済の一年後も深刻なはずです。
昨日もアップルが1-3月期の売上予想に対して、
否定的な見方を発表しました。
中国からの部品供給が滞り始めていること、
同じく中国でアイフォンの販売が想定を下回っていること、
この二点が理由でした。
でも本来、現在の株価にとって重要なのは今ではなく、
一年後の経済のはずです。
では向こう一年、
中国経済は新型肺炎の影響を受け続けるのでしょうか。
僕はそのようには思いません。
確かに例えばひと月、もしかしたらふた月、
新型肺炎は中国経済に対して悪影響を与え続けるのかもしれません。
でもその先はどうでしょう。
北半球は今後徐々に暖かくなってきます、
今回のウィルスがどのような性格を持っているか知りませんが、
前回のSARSのときは3月が感染のピークで、それ以降は終息に
向かっています。
あるいは重症化度合いという点ではどうでしょう。
今回のウィルスは潜伏期間でも感染するというやっかいな
性質を持っているそうですが、重症度合いという点でみると、
たとえば通常の季節性インフルエンザと比べ、
よほど人体への毒性は低いようにもみえます。
なんでもアメリカでは今シーズン、
インフルエンザが大流行しているそうですが、
同国のインフル患者数はすでに2600万人にも達しており、
死者だけで1.4万人も出たと聞きます。
日本の場合は季節性インフルの1月の感染者は、
この10年で二番目に低い水準だそうですが、
それでも今シーズンを通してみると、
罹患者は600万人弱にものぼるそうです。
確かに中国では気の毒なことに大勢の方がなくなりましたが、
季節性インフルのほうはどうなのでしょう。
手元に同国の季節性インフルに関する資料はありませんが、
人口から考えると、少なくともアメリカの感染者数2600万人を
上回っていることは間違いないでしょうし、死者の数も同様では
ないでしょうか。
これに対し新型肺炎の罹患者は、
世界全体で8万人弱(2/18現在)です。
にもかかわらず、
なぜ世界は新型肺炎ばかりに注目するのでしょう、
なぜ中国で外出禁止や交通制限など極端ともいえる
政策が採られるのでしょうか。
感染者数や死者の数からみれば、中国にとって、
よほど季節性インフルエンザのほうが危険な感染症である
ことは間違いないと思います。
もちろんこれは一般論であって、
一人一人をみれば決して楽観できないことは
わかっています。
とくに持病をお持ちの方や高齢者は要注意で、
予防はもちろん万一り患してしまった場合の
救急体制の構築が重要なのは言うまでもありません。
ただしそれはそれ、これはこれ・・・
一人一人の健康問題と世界経済は別次元のお話しです。
こと経済に与える影響度合いという視点で見れば、
僕などは悲観しすぎではないかと思うわけです。
ですから日本はもちろん中国でも、
この新型肺炎の実像を、冷静にとらえる時期が近づいている
のではないかと僕は思います。
相場は未知のもの、未体験な出来事に過剰に反応する特質を
持っていますが、それも織り込んでしまえばおしまいです。
むこうしばらく株価は低迷する可能性が高いと思いますが、
おそらくそれも数週間から長くてもふた月ほど、
その先、相場はまた冷静に一年後の経済をみて
動くようになるのではないかと僕は思います。
過度な楽観と同様、
過度な悲観もまた私たち自身の「心の問題」です。
いずれも株式投資の長期的収益率を、
下げる要因になることを私たちは忘れるべきではありません。
では今回はこのへんで。
(2020年2月19日)
■このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。
「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
|