金はどこまで上がるのか

みなさんこんにちは。

今回はちょっと長いです、
グラフを使ってご説明するといくぶん分かり易いかもですが、
あいにくと僕にはメルマガでそのようなツールを使うスキルがありません、
誠に申し訳ないですが固ぐるしい文章だけで進めさせていただきます、
すみません。

でも内容は濃いと思いますので、
今後の金相場について興味ある方は読んでみてください。

さて本題です。

ここのところ金の価格が急上昇していますね、
あっというまに2011年につけた1オンス=1923ドルを超え、
最高値更新です。

近々1オンス=2000ドルに乗せるという方もいますし、
それ以上の金高を見込む人もいるようです。

では金相場はどこまで上がるのでしょう。

過去の金相場を長い目で振り返りますと、
中央銀行による資金供給量との相関性があることがわかります。

とくにアメリカの中央銀行に相当するFRBの資金供給量と、
金相場には一定の関係がみえます。

理論的に考えても、金の価格は一面で、
「金」対「ドル」という構図の中で決まっているといえるでしょう。

端的に申し上げるなら、
「金の産出量 対 ドルの供給量」のバランスが、
金価格を決める傾向にあるということです。

ですからFRBが紙幣をたくさん供給すればドルの価値が薄まり、
その対極にある金の価格が上がるのです。

ただし例えば3年や5年といった、
比較的短期でみれば必ずしもこの通りには動いていない
こともわかります。

たとえばFRBが2010年に第二次量的緩和(QE2)を行った後も、
アメリカ経済は不安定でした。

そのためFRBは2012年から2014年にかけ、
第三次量的緩和(QE3)とよばれる紙幣供給策を行います。

QE3で市中から米国債などを買い取り、
その対価としてドルを供給した結果、
FRBの総資産(以下「バランスシート」)は
以下のように膨れ上がりました。

・2012年はじめ:3兆ドル弱
・2013年はじめ:約4兆ドル
・2014年はじめ:約4.5兆ドル

もし金価格が、
FRBのバランスシートと完全に相関して動くのであれば、
どうでしょう。

上記のようにFRBが2012年から2014年にかけ行ったQE3で、
バランシートを膨らませていたわけですから、
金価格も2014年あたりまで上昇し続けていたはずです。

ところが実際は違いました。

金の価格を振り返りますと、
FRBがQE2を終えた2011年9月がピークで、
その後は逆に2015年の末まで下げ続けています。

上記のように、
この間FRBがQE3を実施し、
FRBがドルを市場に供給し続けたにもかかわらずです。

でも一方で金価格は、
FRBの資金供給量以外の影響も受けるという見方もあります・

よく言われるのはアメリカの政策金利の影響です。

金は持っていても一円の利息ももらえませんが、
国債や社債、あるいは短期の貸し付けなどから私たちは、
利息を受け取ることができます。

ですから金利の上昇期には、
利息をもらえない金は売られなければなりません。

では実際にはどうだっだでしょう。

FRBが長らく続いたゼロ金利政策を終え、
政策金利を上げ始めたのは2015年終わりからです。

そしてFRBはその後2018年いっぱい金利を上げ続けました、
その結果、アメリカの金利は以下のように上がりました。

□アメリカ政策金利

・2015年末:0.25%
・2018年末:2.25%

もし「金利上昇⇒金価格下落」なら、
この間、つまり2015年末から2018年末にかけ、
金相場は下げていなければなりません。

が、実際はどうだったでしょう。

この間の金価格は以下のように、
逆に上がっていることがわかります。

□金価格

・2015年末:1オンス=1060ドル近辺
・2018年末:1オンス=1280ドル近辺

ここまで2012年から2018年までの金価格をみてきましたが、

1.金は中央銀行による資金供給量が増えると価格が上がる
2.金は中央銀行による政策金利の上昇によって価格が下がる

以上の2つともが当てはまっていないことがわかりました。

2000年以降という長い時間軸でみれば、
1については当てはまっているのですが、
3年や5年といった短期では、理論通り動かないことも
あるということです。

なぜでしょうか・・・

僕は金価格も株株価と同様、
あるていど先を予測して動くからだと思います。

確かに上記のように2012年から2014年にかけ行ったQE3の結果、
FRBのバランスシートは膨らみ続けましたが、金価格はその時点で
すでに「アメリカ経済の回復⇒FRBバランスシートの収縮」という、
「QE3のお祭りのあと」を見ていたのだと思います。

政策金利についても同様で、金(Gold)はすでに2018年あたりに
FRBが利上げを停止すると予測していたのではないでしょうか。

もちろんその時々に発生する地政学的なリスクが
金価格に与える影響もあったでしょうが、
このような「市場の先読み」が金相場に与える影響が
大きかったのではないかと僕は思います。

ではそのような視点で今後の金相場をみればどうでしょう。

たとえばFRBは2022年までは政策金利を上げないと示唆しています。

またアメリカ政府は1兆ドルにも及ぶ、
巨額の追加的な景気対策を検討しています。

つまり

・少なくともゼロ金利政策を当面続ける
・FRBはバランスシートをさらに拡大する

ということです。

定石通りなら、
これら2点はいずれも金価格の上昇要因であり、
今後も金価格は上がりやすいといえるでしょう。

しかもいまのところコロナの終息傾向がみえませんので、
当面は金にとって良い環境が続くでしょう。

が、上記で見てきたように、
相場は先を予測して動きます。

たとえば今後コロナの終息傾向が見えてきた場合どうでしょう。

これは経済にとって明るいニュースになり、

・金利の上昇予測、
・QEの停止や逆にFRBによる資金回収の予測

が台頭するかもしれません、
そしてこれらは金価格にとって悪材料になるでしょう。

金は株と同様大きく値動きするので注意が必要です、
それがコインと違うところです。

このところ街中では金の地金を買う人が増えているようですが、
僕が一抹の不安を感じるのは上記のような理由からです。

長期的には金が買われる理由は失われると思いませんが、
短期的にはチキンゲーム的になるかもしれません。

 

では今回はこのへんで。

(2020年7月25日)




このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
totop