■アメリカ株は調整局面に入ったか
みなさんこんにちは。
ここのところアメリカの株価は順調に値上がりしてきましたが、
昨日は随分と下げました。
アメリカ株に割高感があったので、
昨日の急落をみて、むしろホッとされた方も
いらしゃったのではないでしょうか。
ただし今後を考えればアメリカ株の再高騰・・
場合によってはバブル化懸念も十分あると僕は思います。
一つ目の理由はコロナの終息傾向です。
世界的にもようやく新規感染者がピークを迎えた観がありますし、
アメリカ、イギリス、中国などでワクチンの開発が進んでいるようです。
つい数か月前あたりワクチンは、
どこか雲をつかむような話題でしたが、
最近はその段階を過ぎたように思います。
私たちの関心は、
どのメーカーがいつ何人分供給できるか、
どの国が最初にワクチンを調達できるのか、
といったように、
かなり具体的なところに移ってきているように思います。
株価は半年から一年ほど先を先を見て動きますので、
すでにワクチン後の正常な経済を見始めている
のかもしれません。
株価再上昇予想の二つ目の理由は、
中央銀行の金融政策への期待感です。
先月27日にアメリカのFRBは金融政策の変更を決めましたが、
これは僕にとって意外でした。
むしろ逆の方向に動くと思っていましたので・・・
従来の政策目標は「インフレ率2%の達成」でしたが、
新しい目標を「物価上昇率が2%を一時的に超えること」と
しました。
アメリカにとって「インフレ率2%越え」
は容易ではありません。
同国で最後に2%超えを達成したのは2018年11月ですが、
現状のコアインフレ率は1%を少し超えた程度です。
この政策変更の前、
市場ではFRBの利上げ時期を2022年と見ていたようですが、
この変更によって、
さらにその先一年ほど利上げはないと、
市場は見始めているようです。
これは企業の業績や消費にとってプラスに働きますが、
株価にも好影響を与えます。
では上記2点を踏まえ、
今後のアメリカの株価について少し考えてみたいと思います。
楽観するわけではありませんが、
まずコロナについては終息傾向が明らかになってくると僕は思います。
経済は急に戻りませんが、それでも来年の今頃は、
正常に近い状態になっているのではないでしょうか。
もしこの見方が正しければ、
企業業績も回復に向かい、その結果アメリカ企業の
EPS(注)も上がることになります。
注)EPSは一株当たりの利益です、株価が同じなら、
EPSが高まるとPERは下がります、足元のS&P500ベースの
PERは23倍とミニバブル感がありますが、かりに企業業績が
回復しEPSが上がれば、PERは正常化に向かうことになります。
一方で中央銀行の金融政策はどうでしょう。
上記のようにFRBは利上げのタイミングを遅らせる
決定をしました。
では資金供給のほうはどうでしょう。
FRBのバランスシートは、すでにコロナ前の2倍近くまで
膨らんでいます、四捨五入して申し上げれば、その分だけ
市場におカネが供給された状態にあるといえるでしょう。
本来経済が正常化するなら、
FRBは市場にあるおカネを吸収してゆかねばなりません。
でも言うは易し行うは難しです。
FRBは2017年終盤から、リーマンショック以降市場に
供給し続けてきたドルの回収を行いました。
なぜならドルのジャブジャブ状態を放置すれば、
経済過熱のリスクがあったからです。
でもその「流動性の回収」が順調に進んだかといえば
決してそうではありません。
2017年末時点のFRBのバランスシート4.5兆ドルほどでしたが、
2019年末に4兆ドル弱に減ったにすぎません。
その後の状況はみなさんご存じの通りで、
今年3月にパンデミックがおき、
そこからはまた逆流で現在の約7兆ドルに至ります。
上記のようなことから中央銀行による資金回収が、
簡単でないことがわかります。
加えてFRBはインフレ率のゴール設定を変更しましたので、
さらに「流動性の回収」の時期は先になるかもしれません。
たしかに昨日のアメリカ株の下落はビックリしましたが、
上記のような理由で僕は、アメリカ株が本格的な
調整局面に入ったとは思いません。
もちろんGAFAMに代表される一部の人気企業の株価は
警戒感から一時的に売られるかもしれません。
でも、これからはもっと広範囲に株が買われる形で
バブル化が進む可能性があると僕は思います。
では今回はこのへんで。
(2020年9月4日)
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