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いつまでもつのか、今の通貨システム

みなさんこんにちは。

私たちはもう長いこと1ドルは100円を中心に、
概ね±20円とか±30円といった範囲で変動する、
為替相場の世界で生きてきました。

あまりに長く続いているので、
この状態が永遠に続くという前提で日々過ごしていますが、
少し疑ってかかるべきかもしれません。

たとえば僕が新卒で関西のあるメーカーに入社したころ、
1ドルは240円ほどだった記憶があります。

今と比べると随分と円が安かったのですが、
それ以前はどうだっだのででしょう。

お話しは第二次世界大戦までさかのぼりますが、
戦後まもなくアメリカが主導して出来上がった通貨体制によって、
「金1オンス=35ドル」に固定されました。

注)ご存じのように今の金相場は1オンス=1950ドルほどです、
  当時の1オンス=35ドルと比べると、金に対するドルの価値は、
  ずいぶん減ってしまったとも言えます。

もし僕が当時生きていたとして35ドルをアメリカに持ってゆけば、
同国政府が金1オンスと交換してくれたということです。

一方でアメリカ以外の各国通貨はドルに固定されており、
たとえば1ドル=360円でした。

当時の僕が12,600円を持っていたとしたら、
まずその12,600円を35ドル(注)と両替し、さらにその35ドルと
1オンスの金を替えてもらえたということです。

注)12,600円÷360円=35ドル

つまり各国の通貨はドルを通じ、
金への交換レートが固定されていたのです。

その状態が変わったのはさほど昔の話ではありません。

当時アメリカの大統領だったニクソンが突然ドルと金の交換の
約束を反故にし、それ以降世界のすべての通貨は、金との紐づけを
絶たれてしまいました。

つまり金をアンカーにして成り立っていた固定相場制から、
金との紐づけがない変動相場制への移行です。

この「ニクソンショック」が起きたのは1971年ですから、
たかだか49年前の出来事にすぎません。

若い方にとっては生まれる前の大昔かもしれませんが、
当時10歳だった僕にとってまだ乾ききっていない記憶です。

アメリカがドルと金の交換を停止した理由は、
アメリカ経済が大きくなりすぎた結果ドルの発行量が増え、
同国が保有する金(Gold)でドルを買い取れなくなってしまったからでしょう。

つまり「無い袖は振れない」ということです。

あれから来年で50年です。

当時と比べの世界の通貨発行量は格段に増えました。

50年前と状況は全く違いますが、
通貨制度が抱える問題が膨らんでいる点ではよく似ています。

たとえばアメリカだけでなく世界の中央銀行が発行する通貨の総量は膨張し、
経済の実態に対する相対的な量は膨らむばかりです。

しかもこの膨張には限度というものがありません。

通貨を日々使用する多くの人たちは、
おカネの希薄化を懸念し始めているのではないでしょうか。

また経済や社会のデジタル化が進む一方で、
いまだに紙幣というお札が残っているのも奇妙です。

中国では2022年までに中央銀行が発行するデジタル通貨
(「デジタル人民元」)を導入するといわれていますが、
いずれ「中央銀行が発行するデジタル通貨」が、
お札にとって代わることでしょう。

またアメリカの相対的な国力が小さくなってゆくなかで、
アメリカの通貨ドルが基軸通貨であり続けているのも、
よく考えるとヘンです。

49年前のように一夜でルールが変わるのか、
それとも一定のルールに基づきゆっくりと変わるのか・・・

そこはわかりませんが、
いつまでも今の通貨体制が続くと考えるのは、
間違いなのかもしれません。

 

では今回はこのへんで。

(2020年9月11日)




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