■プラチナはなぜ安いのか
みなさんこんにちは。
今日は久々にプラチナについて考えてみたいと思います。
金(Gold)の価格がプラチナを上回って6年近く経とうとしています、
僕などは「プラチナが金より断然高い世界」で
長いこと生きてきましたので、なかなかこの現状がしっくりと
きません。
人間が有史以来掘り出した量を比べますと、
プラチナは金の1/30ほどに過ぎないそうです。
しかも一年あたり新たに採掘する量を比べても、
金の約3500トンに対しプラチナはたったの190トンほどです。
これほど希少性の高いプラチナが、
なぜ金の半値ほどしかしないのでしょう。
いろんな理由があると思いますが、
一つの理由はプラチナは金と違い、
「準通貨」と位置付けられていないからだと思います。
金は産業用途が少なく、
それだけ純粋に通貨的性格を持ちやすいといえるでしょう。
これに対しプラチナはどうでしょう。
プラチナは例えば自動車の触媒や医療器具、
電子機器といった多方面の産業で使われています。
たとえばですが、
もしプラチナが金のように準通貨的性格を持っていたらどうでしょう。
昨今のような過剰マネーの環境下では、
プラチナの希少性から考えると、
例えば1オンス=3000ドル、4000ドルといった値が付いていても
不思議ではありません。
そのような高値ではとてもではないですが、
自動車の触媒として使えませんし、他の産業用途でも
使用されなくなってしまうでしょう。
このように私たちにとってプラチナが有益な金属であるがゆえ、
かえって準通貨として用いられないという面があるのだと思います。
あと希少性が高過ぎるという点もまた、
プラチナが準通貨になれない理由の一つだと思います。
通貨として用いられるためには一定の流通量が必要です、
銀のようにあまりに多ければ通貨としてふさわしくはありませんし、
逆にプラチナのように少なすぎても通貨として使用するのに不便です。
このようなことからプラチナは準通貨としての性格を
持っていないのだと思います。
そしてそのことが現在のようなお札じゃぶじゃぶ環境でも、
安値に放置される理由の一つではないかと僕はおもいます。
通貨ではないので昨今のように紙幣過剰時代には、
おカネの代替品である金より安くなる・・・
では今後のプラチナ相場はどう動くのでしょう。
準通貨としての性格を持たないとすれば、
相場は主に産業用金属としての需給で決まることになるでしょう。
先日ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(注)が
2020年4-6月のプラチナの需給をまとめましたが、それによると
世界のプラチナ需要はコロナ禍の影響をモロに受け、
対前年同期比でマイナス19%の50トンにとどまったとのことです。
注)プラチナの国際調査機関、以下「WPIC」
これに対し供給はどうだったのでしょう。
コロナによる悪影響は需要以上に大きく、
供給のほうは同35%減の44トンまで落ち込みました。
世界のプラチナの70%を産出する、
南アフリカ鉱山の産出停滞が主因だそうです。
コロナ前時点でWPICは2020年の需給を8トンの余剰と
見ていましたが、直近の予測では逆に10トンの不足に修正しました。
年間の需要が250トンほどしかありませんので、
この供給不足10トンは決して小さくはありません。
足元のプラチナ供給不足は、
年終盤の相場になにがしかの影響を与えるのではないでしょうか。
ご参考までに現在のプラチナ価格は1オンスあたり850ドル前後、
これに対し年初時点は同970ドルほどでした。
では今回はこのへんで。
(2020年9月4日)
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