■中国という国の近未来
みなさんこんにちは。
なぜ中国はこんなに大きな国になったんだろう・・・
僕はずっと前からこんなことをよく考えてきました。
思えば僕が社会人になりたての頃、
中国はホントに小さな国でした、
もちろん面積ではなく経済や外交のお話しです。
作れるものといえば粗悪な万年筆やボールペン、
それに服や家具などしかなかった記憶があります。
そんな小さな中国が、わずか40年ほどで世界の覇権争いに
参加する国になるなんて、予想できた人はいったいどれほど
いたでしょう。
ではなぜ中国は短期間でこれほど大きくなれたのでしょう、
大きく考えて僕は2つほど理由があると思います。
一つ目は模倣、悪く言えばパクリです。
国家をあげて模倣に励んだ結果、
短期間のうちに日本やアメリカの技術や知見を
移植できたことが大きかったと思います。
それも民間企業の努力まかせにせず、
国策としてやったところが大きかったと思います。
でも僕は模倣が悪いとは思いません。
その昔の日本もそうやって短期間に技術を蓄積しましたし、
近世に入って急速にヨーロッパの国々が国力を高めたのも、
その源泉をたどればお互いの模倣に行き着きます。
中国躍進の二つ目の理由は、
人間の多さによる消費パワーの有効活用だと思います。
今世紀に入って中国はしばしば他国に対し、
食料や資源の輸入停止を行うことで圧力をかけてきました。
記憶に新しいところでは南シナ海問題でいさかいを起こした、
フィリピンに対する事実上のバナナ輸入停止です。
現在進行形で起きている、
オーストラリアに対する石炭輸入停止も同様の事例として
挙げることができます。
そういえばある方のノーベル賞受賞にケチをつけ、
ノルウェー産サーモンの輸入を停止したこともありました。
このような露骨な嫌がらせだけではありません、
ヨーロッパは最大の輸出先である中国の顔色を見るのに
忙しかった時期がありますし、かつてはアメリカの親中派も、
同様でした。
ただただ多くの人間がいてたくさん消費するというだけですが、
それをうまく利用することによって、
中国は存在感を高めてきた面があるのではないでしょうか。
もし上記の見方が間違っていないとすれば、
中国の近未来はいったいどのようなものになるのでしょう。
まずパクリ問題です。
模倣によって先進国の技術を自国に移植するのはさほど難しくはありませんが、
いったん追いついてしまえばもうおしまいで、
それ以上の模倣はできません。
これから先は、中国の人たちが本来持っている能力に
依存せざるをえないでしょう。
かりに中国人が高い潜在力をもっていて、
それを先端技術の開発に生かせたとしても、
今までの模倣時代に比べ発展の速度は緩やかになるはずです。
しかもアメリカとその友好国による技術移転の禁止が本格化しており、
この点でも中国は難しい時代を迎えると思います。
では人口のほうはどうでしょう。
国連は今年、中国人の年齢の中央値が38.4歳になり、
すでにアメリカを上回ると推計しています。
注)2020年10月16日付、日本経済新聞より
過去行ってきた「一人っ子政策」の影響もあり、
今後もこの少子高齢化傾向は進むとの考えられてます、
なかには2100年の人口を3.5-4.5億人と予想する研究者も
出てきました。
注)同上
まあ一足飛びに人口5億人割れとはならないでしょうが、
今まで同国の影響力拡大を支えてきた人口拡大が止まるだけでも、
同国にとっては痛手になるはずです。
もしこの見方が正しければどうでしょう。
中国にとっては逆回転の始まりです、
人口が減ってゆくので今までのような消費パワーをてこに、
外国に影響力を行使することはできなくなるでしょう。
国内の消費が縮小してゆきますから、
中国の企業は外に出て稼がなくてはなりません、
ちょうど今と逆の構図になるでしょう。
いまはまだ中国製造2025の看板を掲げ技術立国を目指していますが、
それも達成困難でしょう、技術力の停滞が始まれば、
世界のおカネを今までのように集めてくることは難しくなるはずです。
おカネが集まらなければ、
一帯一路もとん挫することになるでしょう。
中国の停滞は、
私たちにとって決して喜ばしいことではありません。
それでもこのような近未来はお隣に住む私たちにとって
決して悪い世界ではないと思います。
では今回はこのへんで。
(2020年10月16日)
■このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。
「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
|